９．兄side ページ9
・
大学からの帰り道。
聖也が、
聖也「この近くって店あるっけ？」
なんて聞いてきた。
このあたりは住宅街で帰り道には店なんかない。
「ないけど、なんで？」
聖也「いや、なんとなく」
なんか、おかしい。
いつもの聖也じゃないんだよな。
聖也「はぁ...」
「具合悪い？」
聖也「べつに、」
「ならなに？」
聖也「...トイレ行きてぇんだよ。」
「...なんで学校でしてこねぇの」
聖也「...ｯ..」
「もうすぐ公園だから、そこならトイレあるし。もう少し頑張れ」
手を取ると素直に握り返してきた。
けど、あと少しで公園って時に足が止まった。
聖也「むりｯ..」
「もう少しだから、な？」
聖也「むりなのｯ...」
「あ、」
走ってくる音がするから見れば、碧生たちで。
聖也「ぁ...」
ｼｭｨｨｨｨｯ...
碧生はビックリしたような、雅也は複雑そうな顔をしている。
『帰ろ』
2人が帰ったあと、幸い雨降ったあとだから道路は濡れていて、漏らしたかどうかなんて俺らにしか分からない。
「ほら、立って」
黒ズボンでよかった。あまり目立たない。
ﾎﾟﾂｯ...ﾎﾟﾂｯ...
雨...
聖也「ｷﾞｭｯ...」
「ん、大丈夫大丈夫」
聖也「ｸﾞｽｯ...」
聖也との身長差は10cmぐらい。
碧生と変わらないから抱っこしてとりあえず家に帰る。
その間もずっと泣いてて不覚にもかわいいと思った。
家に着くと、
ｶﾞﾁｬｯ...
雅也『あ、』
「来てたんだ」
雅也『先帰ってるから、お邪魔しました』
「またおいで」
『おかえり。今タオル持ってくるから待ってて』
「聖也、降りて」
『お風呂スイッチ入れてきた』
「ありがとな」
『うん。はい、タオル聖也くんも風邪引くよ？』
タオル床に敷いてくれたからそこに立つ。
『もう、』
聖也の頭をガシャガシャ拭く碧生が今日は大人びて見えた。
〜〜〜♪
『お風呂沸いた！聖也くん、どうぞ？お兄ちゃんも入る？』
「聖也、先行ってこい。着替え用意しとくから」
聖也「ん、」
「脱いだら洗濯機入れといて」
それから俺も風呂入ってリビングで戻ると、碧生に抱きついてる聖也。
『聖也くん、お兄ちゃんお風呂行ったあとずっと泣いててさっき寝ちゃった。』
「まじか、雅也に泊めるって伝えるか。この状態で帰すのも可哀想だし」
『お兄ちゃんがさせたわけじゃなかったんだね』
「いくらなんでも外ではさせねぇよ。」
『させたい欲はあるんだ？』
「まぁ、ちょっとは。夕飯何がいい？」
『なんでも』
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作者名：＊Rei＊ | 作成日時：2020年12月5日 18時
