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入学式から早1週間。諸々のオリエンテーションも終わり、本格的に授業も始まり出したこの頃。

 最初は、アラサーの自我が目覚めてしまった私が中学生の集団に馴染めるのか、なんて不安が大いにあったが、実際に学校生活を過ごしてみると意外とすんなりと馴染むことが出来ている。
 むしろ前世にしばしばあった、少し歳を重ね中学生の頃を思い返し生ずる「あの時こういうふうにしていれば」というちょっとした後悔を今世で別の環境でやり直せる、というのはなかなか良い。

 なんだかんだ恵まれている二度目の中学生活を日々楽しみながら、私はその日もいつも通り授業を終え、帰ろうと荷物をまとめていた。

「あ、Aちゃんも今帰るんスか? 昇降口まで一緒に行こ」

 あの魔の自己紹介タイムの時には考えられなかったが、隣の席の黄瀬くんとはまあまあの関係性を築くことが出来ている。
 入学式からのこの1週間、黄瀬くんを囲っていた女の子達の勢いや、その恵まれた体躯を見込んで勧誘していた運動部員たちの勧誘も落ち着いて来た様だった。

「あれ? 黄瀬くん部活いいの?」
「俺部活入ってないッスよ」
「あ、そうなんだ」

 あれバスケ部じゃないの? と一瞬思ったが、そういえば黄瀬くんは2年の時に途中入部する、という設定だったのを思い返した。

「Aちゃん何か部活入ったんスか?」
「私帰宅部。一年からもうエースだよ〜」

 そういえば桐原サンからAちゃんに昇格してるな〜、と思いながら適当にそう返すと、「お」と黄瀬くんが少し嬉しそうに声を上げた。

「初めて共通点あったッスね」
「あー、確かに。ウケる。1週間かけて見つけた共通点、帰宅部のみ」

 入学式から今日まで隣の席のクラスメイトとしてそれなりに話をしていたが、私と黄瀬くんはビックリするほど共通点がなかった。

 カントリーマームはバニラ派。ココア派の私と趣向が被らないので分け合う際に困らないからこれはまあ良いが、私はきのこ派に対して黄瀬くんはたけのこ派。好きな女性アーティストは私は宇多○ヒカルなのに対して、黄瀬くんはaik○。
 「aik○、テトラポットのやつしかまともに聴いたことないかも」と言えば、「俺も宇多○ヒカルは花男のやつしか聴いたことないッス」と返ってくる有様である。

 趣向は全く合わないが、逆にそれが面白くなってきて色々話しているうちに、私は黄瀬くんについて無駄に詳しくなっていた。

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設定タグ:黒子のバスケ , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時

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