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周りを見渡すと、皆おずおずといった様子で隣り合った生徒と自己紹介をし合っている。

「あ〜、ごめん。目開けて寝てた」
「はは……」

 「黄瀬くんのサインがいくらで売れるか考えてた」とも言えず適当にそう返せば、困った様に苦笑される。目の前の12,13そこらの中坊に愛想笑いされてる悲しい事実をどうにか流し、お先にどうぞという様に手を向けた。

「黄瀬涼太です。……えー何言えばいいんだろ、あー……好きな食べ物はオニオングラタンスープッス……」
「あ〜、ココスの美味しいよね」

 マジで興味がないしこの先関わる気もない人間と会話をしなくてはならない時しか出ない話題だな、と思いながらそう脳死で返す。

「あー、俺ロイホ派なんスよね」

 この前まで小学生だった分際でロイホ派なの、めちゃくちゃ生意気だし攻めてんな〜。私が中学生の頃とかサイゼ以外の味知らなかったのに。


「桐原Aです。えっと、好きな食べ物は……サバの味噌煮……とか、かな」

 こちらも「マジで興味がないしこの先関わる気もない人間と会話をしなくてはならない時しか出ない話題」で返し、沈黙をとりあえず避けるために「黄瀬くんは?」と恐る恐る問いかけた。

「……俺は魚は、骨が、あんま好きじゃないんスよね……」
「あ〜……そうなんだ〜……」

 気まずい空気を両者一身に受け止めながら、私はあ、そこの理由は年相応なんだな、なんて思っていた。
 空気は気まずいが、この自己紹介タイムはまだ終わる気配がない様だ。とりあえず時間まではせめて会話を保たせなくてはならない。このまま沈黙なんて居た堪れなさすぎる。

「……あ、好きなドラマとかは?」
「イケパラとか?」
「あ、ごめん私それ観てないや。あー、えっと……私はね〜ライアーゲームとか! 観てなかった?」
「観てなかった……ッスね」
「そっかー……」

 会話終了。イケパラ、と言われとりあえず必死に前世観ていたこの当時のドラマを思い出した私の努力が水泡に帰す様子、しかとご覧いただけただろうか。
 多分今のこの会話の盛り上がり方だと、この先は多分「同じクラスだから用がある時話はするけど……まあね」みたいな関係性になる事は間違いない。

 サイン貰うなんて夢のまた夢になってしまう、と内心気分が落ち始めて来た時、不意に黄瀬くんが言葉を紡ぎ出した。

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設定タグ:黒子のバスケ , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時

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