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時計が12時を指す5分前、次のシフトの子達が訪れて私たちは少しだけ早めに古本市の店番から解放された。
「意外と売れるんだね。あの占い本」
「ええ、正直びっくりしました」
件の緑間くんが出品していった過去の占い本セット(200円)は意外と早い段階で売れて行った。世の中では一見理解が及ばないニッチなゾーンにおいても、需要と供給はしっかりと成立しているのである。
「黒子くんこれから何するの？」
「クラスメイトの巻藤くんと文化祭を回る約束をしてます。桐原さんは？」
「私も友達と回る約束してる〜」
そう言いながらケータイを取り出すと、一緒に回る彼からはもう待ち合わせ場所の指定のメールが届いていた。
そのまま黒子くんと別れ、待ち合わせに指定された場所まで向かう。
廊下には生徒やその父兄だけでなく、他校の生徒も多く見受けられ、歩速を緩めなくては人にぶつかってしまうほど人が溢れ返っていた。地元で有名なマンモス校だしこんな感じにもなるか〜、とゆっくりと歩きながらぼんやりと考える。
喉が渇いていたので黄瀬くんと合流する前に学食の自販機に寄って行こうかと思っていたが、この分だと学食もなかなか悲惨な事になっていそうだ。
仕方ない、と心の中で呟き、私は方向転換して階段を降りある場所へ向かった。
・
帝光は生徒数が多い分、自販機も相応数設置されている。その中でも一階中庭にある自販機は少し教室棟と離れているからなのか、いつでも空いている穴場となっていた。
少し遠回りになってしまうが10分くらいで合流出来るだろう、と考えながら黄瀬くんに少し遅れる旨をメールしつつ中庭を覗く。
いつもよりかは人は多いが、案の定先ほどの廊下の様な混雑はなくホッと息を吐いた。
ポケットから財布を出し100円玉を2枚投入する。何にしようかな、とぼーっとラインナップを眺めていると、不意に横に大きな影が差したのを感じ、無意識にそちらに視線を移す。
瞬間目に映った見覚えのあるシルエットに、私の動きはピタッと止まり例の如く口がだらしなく開いていくのを感じた。
初めて緑間くんと相対した時にも感じたが、それ以上に見上げれば首が痛くなるほどの巨躯がすぐ横にあった。財布を探る手も大きく、とてもじゃないが同じ中学一年生とは思えない。顔に掛かった紫色の髪を、軽く首を振って払い除けるその様に私は胸中で絶叫していた。
む、紫原敦だ〜〜〜〜〜！
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
