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前世、この学歴社会ニッポンで人並みに頑張っていた経験が仇となる日が来るとは夢にも思わなかった。
おかげで本来なら赤司緑間のワンツートップで終わるはずだったこの結果発表に、間女の様な形で割り込んでしまっている。
しかも仕方ないとは言え、「13歳と同じ土俵に立って試験を受けて2位を獲る25歳」というあまりにも文字に起こしてしまうと情けない状況になっているのも恥ずかしいし、第一普通に13歳に負けてるのも尚更恥ずかしい。
加えてあそこに自分の名前があったら、「一位 赤司征十郎」及び「三位 緑間真太郎」の写真を撮ろうとしているところを他の人間に見られた際、「あ、二位だったの写真撮るくらい嬉しかったんだ〜ふふふ」なんて思われるかもしれない。そんなの、ものすごく恥ずかしい。
期末に賭けよう。次はもうちょっと勉強時間減らして三位以下の成績になる。ノー勉は無理だ。前世学生時代の長年の習慣により、試験前に少しでも勉強をしないと不安で死ぬ体質になってしまっている。だから今回よりちょっと、ちょっとだけ勉強する。
「何でそんな顔険しいんスか?」
返却されたテスト用紙を睨みつけながら、私はこう心で誓っていた。
「……思うところがあって。黄瀬くんはどうだったの? テスト」
「俺ッスか? 赤点4つ」
ケロリと言う黄瀬くんにそういえば勉強苦手なんだっけ、と彼の設定を思い出しながら、「あらら」と返すと、黄瀬くんは「頭使うのは俺の専門外なんスよ」とバツが目立つ答案用紙を見ながら口を尖らせ言った。
・・
「見ましたよ。学年二位。おめでとうございます」
「……びっくりした……。ありがとうございます……」
2週に一度の図書委員の当番の日。毎度の如く少しワクワクしながら黒子くんを待っていると、これもまた毎度の如くいつのまにか隣にいる黒子くんに驚かされる。
ぱちぱち、と控えめに拍手をする黒子くんに少し照れ臭い気持ちになり「いいって」と手を横に振った。
「何だかあまり嬉しそうじゃないですね」
「え? あ、いや! そんなことないよ。え、ば、ばんざーい!」
「静かにしてください」
「ごめんなさい……」
「私の名前あの位置にあると邪魔すぎるしそもそも前世の記憶ありでみんなと同じ土俵でテスト受けてるのはずくて……」とは言えるはずがなく、無理に陽気なふりをすると、黒子くんに怪訝そうにシーっとジェスチャーで諌められてしまった。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時