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「でも俺絶対弟か妹いると思ったわ」
単品のアイスティーを飲みながら、そう言う高尾くんに、チョコレートケーキを飲み込んだ後少し不満そうな顔を意図的に作って返した。
「それって私が老け顔だから？」
「ハハ！ だからそういう意味じゃないって。根に持つなよ〜」
も〜、と少し不満そうな声を意図的に出しながら軽やかに笑みを浮かべる高尾くんに「冗談冗談」と言って、またチョコレートケーキを口に含む。
「俺の妹超泣き虫なんだけど、あの日ぜんっぜん泣いてなかったから、あーなんか相当面倒見が良い人に見つけてもらったんだなーって思ったんだよね」
まあ確かにその辺の中学生よりかは子供への対応は上手いのだろう。なんせ中身は25歳の社会人経験ありアラサーである。まあでもきっとそれだけではない。
ベンチに座り必死に涙を溢さまいと堪えていた彼の妹の顔を思い出しながら、「妹さんが頑張ったんだよ〜褒めたげてね」と告げる。
他人に妹を褒められたのが嬉しかったのか、高尾くんは浮かべていた笑みを深め「そーするわ」と優しい声色で言った。
・・
お店を出た頃には、日は落ち辺りは暗くなり始めていた。ケータイを開き時刻を確認すると、もうすぐ夕飯時の時間帯だ。
高尾くんとのデート(と言い張る)、割とガチで楽しかった〜。こんなコミュニケーション能力がカンストしているイケメンとのひととき、一回きりでも経験できて良かった〜。
本来高校生になってから物語に登場するキャラクターと、こうして中学生のうちに会い、あまつさえ一緒にお茶まで出来たのだ。
思い残す事なし。またいつか会おうね高尾くん。もし会えたとしたらきっとだいぶ先だけど、私のこと「え？ あ〜……あ〜！ そういえばいたな〜」くらいで良いから頭の片隅にちょっとだけ捉えておいてね。
束の間の特別イベントに名残惜しさを多少感じつつ、別れを告げようと口を開きかけた時、高尾くんは軽妙な口調でこう言った。
「じゃあ中間試験終わったら連絡するわーまた会お」
今生の別れの気分でいた私は、思わず唖然としてしまいポカンと口を開けて反応が遅れてしまった。
「あれ？ やだった？」
「や、やじゃない。むしろ良いの？」
「なんで？ 俺他校の友達欲しかったんだよね」
パチパチと瞬きをしながら「光栄です」と掠れた声で答えると、「何その口調」と高尾くんはケラケラと笑って大きく手を振りながら改札口へ人の波に吸い込まれる様に消えていった。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
