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「俺の妹がここのケーキ大好きなんだよね」

 そう言って高尾くんが連れて来てくれたのは、駅ビルの中の少しおしゃれなケーキ屋だった。カフェスペースへ案内される途中に、高尾くんは「普段はここで買って帰んの」とテイクアウトのカウンターを指を差した。

「いやぁ、本当にこの前はありがとね」

 ケーキを注文してウェイターが席から去ってすぐ、高尾くんはそう言って顔の目の前で手を合わせた。

「俺あの日本当は家で妹見てる様に親から言われてたんだよね」
「あ、そうなんだ」

 「ショッピングモールいたよね」と続けて呟くと、彼は「そう!」と大袈裟に指を鳴らしながらこちらを差した。この少しオーバーなリアクションが、彼が持つ人懐っこさや話しやすさを作り出している要素の一つなんだろうかとぼんやり思う。

「でも親帰って来る前に行って帰って来たらバレないと思って、妹連れてショッピングモール行ったんだよね。もーそしたら大変よ。人多いしいつの間にか妹どっか行くし」
「あらら」
「迷子になった妹は心配だわ、これバレたら色んな意味で親にクソ怒られそうだわで俺本当あの時割とマジで焦ってたわけ」

 目の前でコロコロ変わる表情や手振りが何だか面白くて、自然と笑いながら相槌を打っていた。イケメンで話してて楽しい男とのデート、至福である。

「それで慌てて迷子センター行ったら、そこでケロッとしてる妹とAちゃんいてさぁ。本当あの時マジで女神に見えたわ」

 メールの文面では桐原さんだった呼び名が、いつの間にかAちゃんに代わっているスムーズさすらイケメンの業である。
 とりあえず明日、何かを期待してはしゃいでいた友人達には「私怒られ回避の女神だったらしくて供物でケーキもらった」と報告すれば良いな、と脳内で考えながら、「そっか〜お役に立ててよかった〜」とにこやかに返した。

「Aちゃんは? 兄弟とかいんの?」
「私? 一人っ子」
「へえ、じゃあパパママと仲いんだね」
「いや普通だよ〜そもそも今2人とも家いないから」
「どゆこと? 聞いていいやつ?」
「大丈夫大丈夫。なんか海外で仕事してるんだって」
「はえー、なんかカッケーな。でもAちゃん的には寂しいね」

 前世では大学入学時から一人暮らしをしていた為、今更両親が家を空けていようが正直どうって事はないが、出来るだけ年相応に見える様「んー、でもようやく慣れて来たかも」と返した。

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設定タグ:黒子のバスケ , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時

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