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見たところ小学1、2年くらいだろうか。
 女の子はトイレの前のベンチに1人で座り、少し目を潤ませている。小1ってまだ1人でこういうところ来る年齢じゃないよね〜、と1人考えていた。

 これは前世死ぬ間際に気が付いた事だが、私は子供に弱い。好きとか可愛いとかそういった感情ではなく、弱い。
 現に前世の死因は、顔も名前も知らない少女をトラックから助けようとした際に轢かれたからである。

 その為幼い女の子が1人目に涙を溜めている様を目にすると、端的に言ってしまうと放って置けない。

「どうしたの?」

 返答はない。側から見れば少し大きめの子供が小さめの子供に声を掛けあやそうとしている変な光景なんだろうなと思う。

「パパとママと来たの?」

 そう尋ねると少女はようやく首を横に振った。首を振った拍子に目の端に溜めた涙に前髪が張り付いてしまったのを払おうと一瞬手を挙げかけて、初めましての他人にやられるの怖いかなと思い直し手を引っ込めた。

「にいちゃんときた……」

 少女は消え入りそうな声で言った。

「お兄ちゃんと来たんだ」

 今度は首を縦に振る少女に「そっかそっか」と出来るだけ柔らかい声で相槌を打つ。

「お兄ちゃん迷子になっちゃったんだねぇ、妹ちゃんは大変だねぇ」

 そうわざとらしくため息を吐いて言えば、不安そうな女の子の表情が少しだけ笑顔に変わった。

「じゃあお兄ちゃんが見つかる場所があるからそこ一緒に行こうよ」
「ほんと?」
「ほんとほんと。そこにいるお姉さんがすぐ見つけてくれちゃうから」

 そう言いながらベンチの横にある館内案内図に目を向け、少女の手を取り迷子センターへと向かった。

・・

「じゃああのお姉さんにお兄ちゃんの名前言えば見つけてくれるよ」

 そう言うと少女は小走りで迷子センターの受付カウンターの方へ向かう。小さい背中を眺めながら、どんだけトイレ長えんだよとか思われてるのかなと考えながら友人に連絡をしようとケータイをポケットから取り出す。

 電話かメールで一瞬迷って、メールの作成画面へと進む。ガラケーを使うのは久々で最初は慣れず苦戦していたが、1ヶ月も使っているともう余裕で使いこなせる様になった。

 この先スマホ普及した後また大変そう、と思いながらメールの文を打っている時、入口の方からドタドタという駆け足が近付く気配がしてそちらへ何気なく振り返った。

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設定タグ:黒子のバスケ , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時

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