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「桐原さんは普段から結構本読まれるんですか？」
お見合いの初対面の時みたいな質問が不意に黒子くんから飛んできて少し驚いた後、まあ初対面ではあるかと思い直し答える。
「心と時間に余裕がある時はいっぱい読むんだけどないと全然読まないなー」
現時点で心と時間に余裕がありまくりなくせに本を読もうともしていないのに何カッコつけた事を言ってるんだ、と我が事ながら思う。
心にも時間にも余裕が有り余っているというのに本も読まない私とは違い、黒子くんは委員会にバスケに、と時間の余裕が少ないにも関わらず、こんな分厚い単行本を読んでいるというのに。
そこまで考えて、ふとある疑念が浮かび上がった。
「黒子くんってさ」と言葉を紡いだタイミングで彼の方に改めて目を向ける。ハリー○ッターと秘密の部屋を半分閉じ、途中のページに栞代わりに右手の親指を挟んでいる状態の彼の手元を何となく確認しながら言葉を続けた。
「部活やってないの？」
「いえ、バスケ部です。なんでですか？」
「あ、いや。委員会入ってるってことは部活やってないのかなって思って」
通常、委員会に入るのは私のような部活動に入っていない生徒がほとんどだ。何かしらの部活動に所属している生徒が委員会にも入っている例は少ない。
黒子くんは質問の意図を理解したように「ああ、」と相槌を打つ。
「図書委員になると、図書室での月の貸出制限数がちょっとゆるくなるって聞いたので入ったんです。部活も試合前以外は水曜日は休みですし」
「え、貸出数増えるの？」
「オリエンテーションでも言ってましたよ」
「へ〜そうなんだ」
目開けて寝てたかも、と言うと、黒子くんは困ったように乾いた笑い声を微かに立てた。
これ確か黄瀬くんにも言ったし黄瀬くんにもこういう笑われ方したなぁ。ガワは同い年だが、中身は25。中学生に愛想笑いされるの結構しんどいなぁ。しかも2人目。もうこれ二度と言わない。
私が少し微妙にしてしまった空気をどうにか取り持つ様に話題を変えた。
「なんかうちのバスケ部めっちゃ練習ハードなんでしょ？ 偉いね、委員会も入るとか」
部員数は100を超え、というモノローグを頭の片隅で思い出しながらそう言う。
黒子くんはいえ、と軽く首を振った。
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牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (
レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです！！これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛タン | 作成日時：2024年2月27日 9時
