11 ページ12
委員会。
それは中学校・高等学校などにおいて、児童・生徒が学校生活で自ら責任をもって参加・活動するために委員を選出し、委員たちが設けられている委員会に所属して行う活動のこと。らしい。wiki調べである。
帝光中学校にも委員会というものは例外なく存在しており、基本的には部活動に所属していない生徒が割り当てられるシステムになっている。また、部活動を行っていない生徒でも学外でモデル活動を行う黄瀬くんのような特殊な事情を持つ生徒であれば、それを考慮され割り当てられる事はない。
一応立候補制という体裁ではあるが、やはり上記のどちらの条件にも当てはまらない生徒には必然的と言っていいほど何かしらの委員会に所属する義務に似た圧力が生まれてくるのである。
「どこ入るんスか? 委員会」
「だよねぇ、入らなきゃヒンシュク買うよねぇ」
「まあそりゃあ、買うんじゃないんスか?」
手元のガラケーを弄りながら黄瀬くんは、我関せずという声色で言った。
直後に飛んでくる「黄瀬ー、携帯しまえー」という担任からの緩い注意に、「さーせん」と黄瀬くんも緩く返してガラケーをポケットにしまう。てかこの時代ガラケーか。スマホじゃないの新鮮。
厳格そうな字面に反して、この中学は驚くほど校則が緩い。
制服を着崩す生徒も多少生活指導の注意はされるが内申に響くなどの支障はない。ケータイは授業中にいじらなければ持ち込み可。学外の芸能活動も勉学に支障が出ない範囲なら許される。
自分の学生時代との大きな乖離を感じながら、今度は委員会に思いを馳せる。
部活動とは反対に、私はこれまでの人生で委員会というものに所属した経験はなかった。前世所属していた部活動がそれなりに忙しかったのもあり、ホームルームの立候補会議は毎回机に突っ伏して寝ていたのをよく覚えている。
うーん、と唸りながら黒板を眺める。
生徒会、風紀、放送、保健、文化……と幾つか並ぶ単語を凝視し、どうせやることになるならこれだなぁ、と手を挙げた。
「桐原、図書委員やりまーす」
そう伝え、担任が「図書」の文字の下に桐原と達筆な文字で書いていくのを眺めていると、「本とか読むんスね」とまた我関せずと言った声色で隣の黄瀬くんが言う。
この中のどれかの委員会に入ってる黄瀬くんって想像出来ないなーとぼんやり思いながら「まあね」と私は適当に言葉を返した。
63人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
牛タン(プロフ) - アンパンさん» コメントをいただきありがとうございます。そう言っていただき光栄です。度々話のキリが悪い更新の仕方ですが、温かく見守っていただけますと幸いです🙇 (3月1日 23時) (レス) id: 68be7e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
アンパン - めっちゃ文章が好きです!!これからも更新楽しみに待ってます (3月1日 15時) (レス) @page20 id: 2d65495c60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:牛タン | 作成日時:2024年2月27日 9時