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結局、言ってた通り和也くんは何もしてこなかった。
寝返りを打ったとき、触れ合う背中だけ。
本気で言ってるのか、ただからかいたかっただけなのか、よく分からなくなる冗談を相変わらずサラッと言ってきたけど。
期待したわけじゃないのに、モヤモヤと変な気持ちでいっぱい。
・・・ていうか、期待なんてするもんか。
そんな気なんて一ミリもないんだから。
「あ、おはよ？」
ふかふかの布団から顔を出し、ゆっくり目を開けると、和也くんはタバコを咥えて、ソファの背からひょこっと顔だけこっちに振り返って見てた。
「おはようございます…」
「ゆっくり寝れた？ドキドキした？(笑)」
「おかげさまで熟睡してました」
ホントはちょっと嘘ついた、とか言わない。絶対に。
「なんだ、つまんねぇ(笑)」
ふっと鼻で笑い、タバコの灰を灰皿に叩く。
「今日アンタ休み？」
「休みです」
「ならどっか行く？」
「え」
「間抜けな顔してるね、どうした？」
相変わらずふっと鼻で笑いながら、和也くんはフーと息を吐き、その上に煙がゆらゆらと舞う。
その仕草に、何故か目を奪われる。そんな自分を理解するのを躊躇う。
可愛い顔なのに、不釣り合いな煙。
そのギャップが、和也くんを分からなくするから。
「…ご飯、美味しいご飯が食べたい」
「美味しいご飯ね？連れてってあげる」
んふふっと今度は楽しそうに目を細めて笑う和也くんを
視界の端で見つめながら、背中に残る微かな和也くんの体温を感じた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2017年12月22日 18時
