びんとろシェアハウス！！

金曜の買い物 ページ31

金曜日。


仕事を終えた各々が家路につくなか、Aとミントスは買い物に出ていた。



ミントス「この組み合わせで買い物に出るのは中々珍しいですね、Aさん。」


スーパーに向かって歩き始めて間もなく、ミントスがAに話しかけた。



「そうですね、ミントスさんが付き合ってくれる頻度が極端に低いですから。」


Aは寒そうに手に息を吐いた。



ミントス「おっ、言うようになりましたねぇ。」


ミントスは楽しげにカラカラと笑った。



「だから、一緒にお買い物付き合っていただいて嬉しいってことです。」


Aはにぃっと笑ってミントスを見た。


ミントスもにぃっと笑い返すと、ふとAが寒そうに手をこすり合わせているのが目に入った。



ミントス「Aさん、手寒いんですか？」



「……ちょっと、思ったよりも寒かったです。」


バツが悪そうに笑うAの手をそっと掴むと、ぎゅっと握った。


ミントス「体温高いんで、分けてあげますよ。」



咄嗟にAはミントスにバレないように視線を向ける。


対するミントスは何事もなくスーパーへ足を進める。

……いや、先ほどよりも歩くスピードが一段遅い。


さっきまでも歩く速さを合わせていてくれたのに、こちらが歩きやすいようにより速度を落としてくれたという事実に気付いたAは隠しきれないニヤニヤをどうにかしまい込んで、ミントスの隣で花を散らした。


そういえばミントスさんに限らずBinTRoLLの皆さんは一緒に出掛けると必ず車道側をキープする。

あまりにも自然に守られていて、しまい込んでいた笑みが表に出てきてしまう。



「ミントスさん紳士的〜！」


こらえきれず小声でそう言うと、ミントスの手がピクリと動いた。




ミントス「聞こえてますよ、どうも。」

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