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130話「化け物はどっちだ」 ページ30

試合会場から3キロ程度離れた広場だった。
こういう時に限って、やっぱり周りに人はいなくて。
変身して、騒がしい声が聞こえるところへ急いだ。

「貴様のバスケ人生をここで終わりにしてやるっ!!」
「クソが、はなせ、このやろッ」
「さぁ!やっておしまい!!青峰君のスターシード、奪ってちょうだい!」

そこには化け物と、化け物に羽交い絞めにされている青峰君と、それを遠目で見ているセーラーアイアンマウスがいた。
私は静かに近づく。

「マーズ、借りるよ」

彼女の真っ直ぐなところを思い出すと、右手の中に弓が現れた。
私はそれを両手で構える。光の矢が現れて、化け物の両腕に標準を合わせる。

そして、弓を引いた。

「グウウッ!?」
「うおっ」
「え!?」

「そろそろ諦めてもいいんじゃないの?」

見事に化け物の両腕に光の矢は命中した。力が抜けた瞬間青峰君は抜け出して、距離を取る。
セーラーアイアンマウスと化け物は、私の方を見た。

「アルカイドッ……!」
「やあ。まだ生きてたんだね」
「なんだお前。俺の復讐を邪魔するのか」
「化け物は黙ってて」

セーラーアイアンマウスの顔は、焦っていた。多分、もう後がないんだろう。いつもならもっと、あのお団子頭の周りや、わかりやすく輝いている人を狙うはずだから。
これはもう手当たり次第、狙いやすい人にターゲットを変更したように見える。

「だれだ、お前」

そして、狙われている青峰君の表情を見て、胸が苦しくなった。
彼の濁り切った瞳は、全てを諦めていることを伝えていた。
そして驚いていながらも、向けられた悪意をすべて、当たり前のように受け入れている表情。

「……化け物、だと?ははっ、俺なんかより、こいつの方がよっぽど化け物だよ!バスケが強すぎて、一人で何点も取れて、一緒にバスケしてもこいつだけが気持ちよくなる!」

すると、私の言葉に納得がいかなかったのか化け物の方が青峰君を指差して叫んだ。それを聞いた青峰君は、奥歯を噛み締めていた。でも、何も言い返さない。

「こいつとバスケして、バスケを辞めたやつが何人もいる!何がキセキの世代だよ。よりによって桐皇に行きやがって。あーあ。さらに、バスケを嫌いになるやつが増えるだろうな!」

青峰君はその化け物の言葉に、俯いた。握りしめた拳が震えている。

「ま、こいつはこの先もずっと一人だから関係ねえか!つか、ここで死ぬし一緒だろ」

化け物が一通り言い切った瞬間、私は化け物に蹴りをいれた。

131話「私がなってあげる」→←129話「遅れてやってくるのは主役だけじゃない」



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作者名:白咲ナナ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2023年10月22日 1時

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