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111話「胡散臭い、性格悪い、変人、天才×2」 ページ11

「うーん、終わったぁ」

試験時間は結構長かった。最後の教科が終わると、会場全体がざわついた。私も大きく伸びをして体をほぐす。

「おい!お前」

隣にいた胡散臭い男が、それはそれは怒った顔をして私に近づいた。ばぁん!と指さされたのは問題用紙。

「あれ、解けたのか」
「あれって?」
「数学の大問3」

数学。大問3。
目の前の彼が言っている問題を思い出すまでに時間がかかった。

「お前、ちょっと鉛筆動かしてたと思いきや、後半人が解いてる横で寝やがって」
「…………あれ、バレてた」

なるべく気配を消していたつもりなのだが、さすがに隣にはバレていたようだ。

「で?寝てたんだから解けてんだろうな」
「そんな君は解けなかったのかな?」
「まだ授業でやってねーんだよ!!アホか!」

煽ると心の底からブチギレられた。
確かに学校ではまだやってない分野だったような気もしなくも無い。

「じゃあ、答え合わせでもします?」
「は?」
「空腹を満たしながら、ですけど」
「ハァ?」

嫌悪感丸出しの顔をしているが、即断ってこないことから、わからないことが相当嫌なようだった。私はとりあえず近くのファミレスでも検索する。こういうのは早い方がいい。彼の素性にも少し、興味があった。


「ここ行きますか。ちょっと連れも2人いますけど、答え合わせだけにするんで。終わったら帰ってもいいですよ」
「……てめぇの答えだけ聞いてすぐ帰るからな」

意外とあっさり決めてくれた。
そうと決まれば即行動だ。
2人してそそくさと席を立ち上がる。
そんなところだった。

「あら〜?花宮、お前彼女できたんか」
「……ゲェ」

彼の表情が今までにないほどに歪む。
私も後ろをふりむいた。

黒髪で、眼鏡をかけている高身長の男が、にやにやと私たちを見つめていた。




「注文が終わったので自己紹介します。明星Aです」
「は、はじめまして。水野亜美です」
「土萠ほたるです!」
「今吉翔一や。よろしゅう」
「……………………花宮真」

ファミレスの店員さんには、この組み合わせで5人と答えたものだから、それはそれは驚かれた。
友達の友達です、なんて今吉さんが言わなかったら、きっと疑いの視線をずっと向けられていたことだろう。
周りの目線が気にならない奥の席まで案内されて、タブレット注文を済ませたところで、自己紹介。

「じゃ、模試の答え合わせでもしますか」
「Aちゃんのその度胸は、本当に見習いたいものね」

亜美ちゃんが苦笑した。

112話「話が分かると楽しい」→←110話「模試破り」



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作者名:白咲ナナ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2023年10月22日 1時

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