薄桜鬼 涙は伸ばした手をすり抜けて〜貴方に触れたくて〜

第7話:見た目 ページ8

土方)…てめぇ、名前は何だ。

A)見知らぬ人に名前を教える義理なんてありますか？

原田)お前、今の状況わかってんのか？

A)分からないほど馬鹿に見えるとでも？

沖田)本当にムカつく…

それはこちらの台詞だ。
何でそっちの事情で捕まらないといけないのかが分からない。

A)…早く家に帰してください。

土方)できねぇから此処に連れてきた。てめぇ、昨日見たもんを覚えてるか？

A)あんなもん見せられてすぐに忘れるとでも？

近藤)…あれは確かに忘れれないな…

黒の中に映える赤。
焼き付いて離れない。

土方)…あれは見ちゃいけないもんだ…だが、てめぇは見た。

A)…それを私のせいにして、勝手に殺すと？新選組って最低な組織ですね。

平助)何だと！！

近藤)やめなさい！！

本当のことを述べただけだ。

近藤)この子は何も間違ったことは言ってない…

土方)間違ったことは言ってねぇ…だが、帰すこともできねぇ…

A)何で他所様の事情に付き合わされないといけないんですか？

ずっと続いてるこのやり取り。
新選組の人たちは引こうとはしなかった。

沖田)やっぱり斬った方が早いんじゃないですか…

A)軽々しく女を斬るほど落ちこぼれた組織に容易く斬られるほど鈍くないんでね。

原田)………おんな…？

A)はい？何でしょうか。

永倉)…いや、空耳だ……

A)人の性別、見た目だけで決めないでくれませんかね？

まぁ、そんなこと別にどうでもいいんだけども。
とにかく、一刻も早く此処から抜け出したい。

近藤)……おなごだったとは…

A)そんなことはどうでもいいです。結局はどうするんです？

土方)……それでも帰せねぇ…

この疲れるやり取りに私は溜め息をついた。

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