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酷く晴々とし、綺麗に真っ青な空。Aの気持ちはそれと反し、とても晴れやしなかった。と言ってもそこまで機嫌の悪い訳ではないが。
人間は助け合える反面、周りに流されやすい性質を持つのだ。いじめや、誤情報に流されたりしている様子が丁度良い例となる。
もちろんその様な者ばかりとは言わないし、災害時等の協力はとても他の種族では見受けられないくらい素晴らしいものだ。
しかし、周り全員が自分と違う意見を持っていると、自分が正しいと思っていても周りに流されるだろう。流されずにぶつかりあって起きるのが喧嘩や戦争だ。
だから流されるのは、時には良いことなのだが。

「……やはりこれは戴けない」

滞りと言おうか、飽きれと言おうか不安と言おうか。軽く姿を変えたAは、国の民からある話を聞く都度その感情が積もりに積もる。
あの話と言うのは、70年ほど前から言い伝えられてきた魔王の話。言わずもがな、Aが仕えているらっだぁの話である。
らっだぁは起床が遅いため、起きる前にAは町へ下りて話を聞いているのだ。70年も経てば何か変わると思ったが、しかしながら何も変わっていなかった。

「魔王? 70年くらい前に人間を沢山殺して、その上支配しようとしたんでしょ! 迷惑だよね〜!」

聞いただけのありもしない話をすらすらと並べるパン屋の少女。

「魔王とかそんなん本当に居なくなった方が良いと思いますね」

聞いただけの嘘の噂で、魔王を強く憎む図書館に居る青年。

「あの怪物は平気人を殺すんだ。俺の知り合いが親を殺されたんだ」

聞いただけの話で殺されたと決めつけ、魔王に嫌悪と憎悪を向ける宿屋の店主。
他にも、皆口々に魔王の悪口を言う。聞けばするすると簡単にありもしない話が大量に出てくる。それは嘘だ、と言いたい気持ちを堪えて国民に聞いて回った後、Aは城の方へと足を進めた。
ここまで悪く言うのは、周り全員が魔王は悪いと言っているということだけでなく、魔王は悪者だと言う先入観のせいでもあるだろう。まあ文字からして、"魔"の"王"なのだから、そんな先入観を持ってしまうのも無理はないだろう。そこに昔からの言い伝えがあるのなら尚更だ。Aはそんなことをぐるぐると考えながら帰ったら、いつの間にか城についていた。
そろそろ、らっだぁが起きる時間だ。
Aは魔王の部屋の扉の前へと向かった。

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アイリス - 初コメ失礼します〜。お話がとても面白いです!体調に気を付けつつ頑張って下さい!(上から目線だったらすいません) (2020年4月10日 23時) (レス) id: efae12fbca (このIDを非表示/違反報告)
らんら - コメ失礼します!好きです。(唐突)作者さんと自分の好み同じすぎます!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 411096a00b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Densu | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月31日 12時

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