【うたプリ】短編 書いてみたかったんです

バレンタイン2019【藍ちゃん】 ページ16

Aの手首に巻かれていたリボンは、固結び
になってる所を緩めたら意外にあっさり解けた。

無理に外そうとしたから、結び目が固くなったんだと思うけど。

そのせいで、Aの手首が少し赤くなってしまっている。


「 赤くなってる。大丈夫？ 」


「 大丈夫。ありがとう・・・ 」


触れた感じも問題ないから、Aが言うように大丈夫なんだろう。
気まずそうに俯いているから、表情がよく分からない。

「 それ・・・僕にくれるの？ 」


「 えっ？あっ、、、うん。そうだけど 」


テーブルの上にラッピング途中のチョコが透明な入れ物に入ってるのが目に入る。
薄い紫色の、貝殻や星の形をしてる。
僕が・・・海を好きだから？

「 紫色のチョコ？ 作ったの？ 」


入れ物を手にとって中を見ようとしたら
パッと顔を上げたAが

「 チョコは、ホワイトチョコにね紫色になるパウダーがあって・・・。でも、ダメ！ ラッピング途中だし！ ちゃんと出来てないから ！！ 」


横からサッと、チョコの入れ物を自分の手元に持っていった。

貰うのは、僕なんだから僕が良いならそれでいいと思うんだけど。
そう言ったらAが、今度は怒り出しそうだから言わない。


「 分かったから、入れ物・・・両手で持ってて 」


「・・・？ はい・・・？ こう？ 」


「 うん 」


Aから外したリボンを、またソッと腕に結ぶ。
動けば解ける位の緩さで。
呆気にとられてるAが可愛いと思う。


「 チョコもAも全部・・・。僕にくれるんだよね？ラッピングも送る方がしなきゃいけないって決まりは無いよね？ 」

「 えっ？ 藍ちゃん・・・？ 」

「 だからAごと、僕がラッピングした。それじゃダメなの？ 」

真っ赤になって口をパクパクさせてる。
そんなAも、やっぱり可愛いと思う。

Aをソッと、僕の方へ引き寄せて抱きしめる。


「 僕には充分・・・充分過ぎるくらいだよ。ありがとう。嬉しいよ 」


嶺二が言ってた男のロマンは、ちょと理解し難いけど。


チョコが溶けてしまうんじゃないかと思う、Aの体温や温かさは嫌いじゃない。


「 藍ちゃん 」


僕を見上げて、潤む瞳も全部。優しい気持ちに包まれる。

自然と僕は笑っていると思う。

これが、愛おしいって感情なのかな。

それを教えてくれた、君を僕はずっと好きでいるよ。

END

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