【うたプリ】短編 書いてみたかったんです

バレンタイン2019【藍ちゃん】 ページ15

今日一日、スタジオに入ってる予定が
嶺二のせいで早く帰る事になった。

他のメンバーも煮詰まって来ていたし、作業効率も落ちていたから妥当な判断だと思う。

予定が変わったと、Aにメールはしたけど返信がない事に違和感は感じていた。
今日は、一日部屋にいてやる事があるからと言っていたのに。


「 A・・・何にやってるの？ 」


「 藍ちゃん！！これ取って！取れなくなっちゃって 」


今にも泣きそうな、Aが焦ったように喋って両腕を、僕の前に差し出した。

淡いパープルのリボンが結ばれている。
リボンが解けて結び目が固結びになってしまってるけど。


「 これ、最近流行ってるの？ 」


「 へぇっ？！流行ってるって何？ 」


「 いや・・・別に 」


ほんの数時間前にも同じ状況だった。
正確には、嶺二にリボンを結んでくれと頼まれた。


「 いい大人が何やってるの？全く意味が分からないんだけど 」


「 アイアイ！今日はバレンタインだよ？
マイガールに、とっておきの逆チョコ渡してあげたいじゃない！？ 本当は、逆の方が男のロマンなんだけどねっ 」


そんな嶺二を部屋へ届けた。
嶺二のパートナーは、凄く呆れた顔をしていたけど・・・どこか嬉しそうだった。


だけど、僕も部屋へ帰ったら、こんな事に遭遇するなんて想定してない。


「 外すのは構わないけど、なんでこうなったのか、ちゃんと説明してよね 」


「 いゃ、あの・・・そのっ・・・ね 」


顔を赤くしながら、モゴモゴと説明し始めた。落ち着かないのか、目がずっと泳いでいて、耐えられなくなると目を閉じてしまう。
耳まで赤くなって、心拍数も普段より速い。


「 だって・・・急に帰って来るってメール来て、ビックリしちゃって 」


「 帰って来ない方が良かった？ 」


「 そうじゃなくて！！！ 」


赤くなってたと思ったら、また泣きそうな顔をしてる。表情がよく変わって忙しい。


「 チョコのラッピングをしてたんだけど、藍ちゃんも、意外とこうゆうの喜んでくれたりするかな？って思って・・・男のロマン？ 」


「 男のロマンって理解し難いけど。それで？ 」


「 試しに、1人で結べるのかやってみたら、メールが来て慌てて、取ろうとしたら・・・ 」


「 取れなかったんだね。まったく、なにやってるの 」


僕の予定が変わらなかったら、一体どうやって取るつもりだったのか。

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