【男主】過去の俺が何したって言うんだ：２【東リべ】

８９：見つめる ページ39

ー花垣 sideー


「これより新年一発目、東京卍會全体集会を始める！！」



変わらないドラケン君の声が
武蔵神社に大きく響き渡る



「東卍と黒龍は対立してきた。
一度は和平協定が結ばれたが破綻
それは兄弟である弐番隊副隊長と黒龍総長の確執が原因だった

そして東卍は聖夜に黒龍とぶつかり、激戦の末勝利した

この件のことで、みんなの前で話したいやつが三人いる！」



聖夜戦争、か

A君はこの前
半間と稀咲の手によって
自身の脳であるノートを書き換えられたと話している

つまり、彼らも
A君を危険視していた、ということだろう

あの日A君が来るのは予想外だったか、それとも……



「一人目 柴 八戒、前へ！！」



八戒は少しだけ目を伏せた後
ゆっくりと、前を見据えた



「始まりはオレのくだらねぇ、ちっせぇ嘘だった。
そのちっせぇ嘘を守るためにオレは家族を…東卍を巻き込んだ

そして事はデカくなり、東卍 対 黒龍の抗争まで発展した
全てオレの責任だ

……みんな、すまなかった」



頭を下げる八戒

オレは八戒、と小さく呟く

周りはザワザワと
各自思うことを零して

でも、そんな中
声を上げる者がいた



「気にすんな八戒！
抗争の火種なんてよ、そもそもいつでもちっちぇもんだ！」


伍番隊隊長 武藤泰宏



「それに黒龍には勝ったんだ。
結果オーライっしょ、なぁみんな！」



肆番隊隊長 河田ナホヤ

彼らの声に惹き付けられるように
みんなは口々に、優しく言葉を紡いだ

やはり、東京卍會は温かい

そしてオレは
未来を変えられたのだろうか



「頭上げろよ八戒！」

「誰もオマエを責めねーぞ！！」



八戒コールが鳴り響く



「オマエはこれからも、東京卍會 弐番隊副隊長だ！
みんなもそれでいいよな！」



ふと、肩に誰かの手が置かれた



『……これでどう？花垣』

「A君…！！」



ニンマリと優しい笑みを浮かべ
やっぱり、君は変わらない

少しも、変わらない


でもそれが返って
不安を煽る


オレが変えたかったのは
確かに八戒の未来でもあるが

もう一人

マイキー君の人生を狂わせる
大きな要因となった

" たった一人の暴走 "



『未来、変わったろ！』



A君はあの日、暴走した

マイキー君の仲間達を殺そうとして
最期には、東京卍會から見捨てられ

そして君は_______________



「二人目は乾！前へ！！」

『お、キタキタ♡』



どこか楽しげな君の横顔を
オレはただ、見つめていた

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