６９：兄貴 ページ19
ーYou sideー
パッと手を離せば
まるで玩具でも見つけたかのように
不気味な程の笑顔で睨まれた
「……いーねぇ、和平成立だ！」
立ち上がった三ツ谷と手を取り合い、握手
「まぁ俺はDVなんてしてねぇけどよぉ、約束してやる！
二度と柚葉には手は出さねぇ」
…分かってるよ、三ツ谷
チラリと横目で見られて
頷くように、下を向く
彼が素直に呑むとは思わない
この戦いは絶対、終わってない
「お前、」
去り際、大寿が俺の肩を掴んだ
「
『……は？』
何言ってんだコイツ
この状況で " はい " の答えが出るとでも？
手を振り払おうとする前に
三ツ谷の力強い手が、大寿の腕を捕える
「Aは、何があっても渡さねぇよ」
「……へぇ」
多分俗に言うイケメンって、こういう男だと思った
―――
母さんと父さんと
久しぶりに食卓を囲んでの食事
中々家族全員では集まれず
普通に楽しかった
" 生まれた環境を憎むな " …か
いいなぁ、三ツ谷は
ホント理想のお兄ちゃんって感じがする
『俺もお兄ちゃん欲しいなぁ…』
さりげなく呟けば
父さんは笑って、俺の頭を撫でた
「……そうだな」
母さんは何も言わない
食事をする手を止め
ただ悲しそうに
俺じゃない
どこか遠くを見つめている
何か変なこと言ったかな
「本当に…記憶がないのね」
父さんには聞こえなかったみたいだが
俺には大きく、ハッキリ聞こえた
なぁ、なんだよ
俺はなんでこんなにも
空っぽなんだよ
胸の中が突如
空っぽになった気がして
そう言えば俺って、どうして
『……俺って、お兄ちゃんいたの？』
真一郎君のこと
お兄ちゃんって思ってたんだろう
訝しげに父さんを見れば
どこか怒ってるように思えた
目線を逸らし、母さんを見ると
今度は母さんが優しく
俺の肩を抱いて
「いないわよ。生まれた時から
Aはずっと一人っ子だったわ。」
まるで、自分に言い聞かせるような口調だった
思い込みかもしれない
でも明らかにおかしい
だって箸もコップも
勉強机も、イスも
俺の部屋とは別にある
もう一つの部屋だって
何もかもが
__________人数分より、一つ多いんだから
逆に今まで疑わなかった事がおかしかったんだ
二人がとても
恐ろしく見えてきた
どうして両親は
俺に何かを隠しているのか
どうして俺は
真一郎君を兄だと思っているのか
枯れてしまった記憶への興味も
何故か返り咲いてしまった
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鳳夏 - なんかすごいことになっちゃった😫主人公君天竺に行っちゃうんだ😲更新頑張ってください！応援しています🎌 (2021年10月3日 20時) (
レス) @page50 id: 1af6bcdd02 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 天竺編めっちゃ楽しみです！！ (2021年10月3日 8時) (レス) @page50 id: 0340ae7b1d (このIDを非表示/違反報告)
ひー(比古)(プロフ) - えっ、そういうことなの。もしかして今後天竺の話になると最悪展開になるんじゃ…主人公とマイキー達の間にまた…😭 (2021年10月3日 2時) (レス) @page50 id: f1c378431b (このIDを非表示/違反報告)
stgy - 1話1話､涙が止まんない… (2021年10月2日 19時) (レス) @page46 id: 05b8f4c815 (このIDを非表示/違反報告)
ソウカ(プロフ) - めっちゃ大好きです！！！ (2021年10月2日 12時) (レス) @page43 id: e5218f93f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まんじゅうLv99 | 作成日時：2021年9月20日 9時
