【男主】過去の俺が何したって言うんだ：２【東リべ】

５２：君にしか、出来ないこと ページ2

ーcfy sideー

冷たく硬く、変わり果てたA君の体を
俺は強く抱きしめた


「場地が言ってた。

" 一虎はマイキーを喜ばせたかった。
だからアイツは受け入れられない。
たとえマイキーの兄貴を殺しちまっても
自分を肯定するために、マイキーを敵にするしかなかった "

……ってよー」



どんどんと、A君に近付いてくるマイキー君
俺は守るように、もっと体を密着させた

A君を、どうする気なんだ
今まで喧嘩してたじゃないすか

A君が抜けるって言った時だって
ただ黙って、見てただけで

怒ってくれた場地さんも、集会出禁にして

アナタ達は一体、何がしたいんですか

言いたいことは山ほどある

でも、キレているはずなのに
感情の無い彼の目が
俺の口を塞いだ



「……Aは、

一虎をぶん殴った時、殺そうとした時、
俺なんかよりずっと苦しそうだった
泣きそうになりながら、俺の代わりに怒ってくれた

俺、ホントは知ってた。

何よりも望んでいたのは俺なのに
それを望まないAが

それなのに俺は、お前に甘えて

…ごめんな、A」


「ｯ……」



マイキー君の手が
A君の頬を撫でる

そんなの、起きてから言ってくださいよ

死んでからじゃ、何もかも遅い



「アイツが変わり果てる前、なんて言ってたか

……お前ら、知ってるか？」



そして、彼は離れていく

半間君とドラケン君の間に入って
まるで我がもの顔で歩みを進める



「マイキー……」

「ケンチン、喧嘩は終わりだ」

「はぁ！？オイオイオイ、喧嘩は終わり！？
ナメてんのかマイキー！？

そんなのテメーが決めることじゃねーだろうが！？」



半間君がマイキー君の前に立ち塞がった時
エグい音が場内に響いた



「ほら、終わった」



芭流覇羅側は
大将がやられたことにより
大声を上げて逃げ惑う

どうしよう、A君

俺じゃ、何も出来ないッス

一虎は何故かその場に座り込んで
焦ったような表情で、マイキーを見据えた


「終わらせようぜマイキー。

テメェが死ぬか、俺が死ぬかだ！」


マイキー君の容赦ない一撃
憤怒に染まる彼を、止められるのは

"「俺とA、マイキーは、同じ道場で育った」"

アナタにしか頼れない俺を、どうか許してください

"「無敵のマイキー負かせられんのは、アイツしかいねぇよ」"


場地さんが珍しく、焦りを顕にした


「A、ヤベェぞ……
このままだと、マイキーが…一虎を殺しちまう……」

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