運命のヒト【さとみ】

＊ ページ21

ころん「〜ですか？」
A「はい！〜〜はですよね！」

指輪。左手の薬指に。

ころん「んでさとみくんが〜〜〜でw」
A「え、さとみさんそんなことするんですねw」

左手の薬指ってことは、やっぱりそういう事で。

A「……さとみさん？」
ころん「さとみくん？」

彼に、もらったのかな。そうだろうな。

A「さとみくん？！」
さとみ「あ…っ」

テーブルに置いていた手を軽く叩かれて気付く。

A「大丈夫？」
さとみ「ああ…ぼーっとしてた」

Aさんは俺の右手に左手を重ねたまま俺のことを見つめる。

やめてくれ、これ以上俺を苦しめないでくれ。

俺は右手を無理矢理動かして
グラスをつかむ。

ぐいっとカクテルを飲み干しておかわりを頼む。

ころん「え、さとみくんまだ飲むの？」
さとみ「おー」
ころん「やめときなって」

ころんは心配そうに俺の顔を覗き込む。

さとみ「だーいじょうぶだって」

酔ってもころんがいるから大丈夫だろ、って
俺の頭はもう完全に油断している。

大丈夫。嫉妬でやらかしたりなんかしない。

ころんが止めてくれる。大丈夫大丈夫。

出されたおかわりも飲み干す。

A「何かあったの？」
さとみ「んー、」

Aって名前の俺の好きな女に彼氏ができて、
俺は告白もしてないのにフラれたんだ。

ね、ひどい女だと思わない？

今もまだ俺の心を弄ぶんだ。

さとみ「何もない」

俺は複雑な気持ちが顔に出ないように
必死に笑みを作る。

ころん「あれさとみくんうぉううぉうしないの？」
さとみ「しねーよ！！w」
ころん「Aさんの前だからしないの？w」
さとみ「そうだよ！ww」

ただのキチガイパリピって思われんじゃねえかw

A「なに、うぉううぉうって」
ころん「僕わかんないよ、さとみくん教えて」
さとみ「なぁんでだよw」

こいつホント…w

さとみ「飲み会のコールだよ…w」
A「やってみて」
さとみ「やぁだよww」

何でこんなにわくわくしてんのAさん。

確かにAさん飲み会とか参加しても
大人しく飲んでそう。

ころん「やってみて♡」
さとみ「じゃあお前飲めよ？w」
ころん「さとちゃん？飲んでなくない？」
さとみ「だるw」

何でバーでコールするんだよw ちげぇだろ絶対w

さとみ「こうやって飲ますの」
A「さとちゃん？飲んでなくない？」
さとみ「ねえいいよww」
A「あははw」

Aさんが言ってるイメージないけど
楽しそうだからいいや。

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