轟焦凍*1*【arieru:アリエル】 ページ7
『なんでっ…こん、な時にっ……』
最悪だ……こんな時に力が切れるなんて……
Aの目は充血し、血走っている。
彼女はヒーロー科の1−Aに通うヒーローの卵。即ち、ヒーロー候補生だ。
彼女はあまりヒーロー科の中ではこれと言うほど注目もされず、あまり活躍もしていない。
それはAの個性のせいだ。
彼女の個性は"
空を飛び、闇を操る。クラスメートの常闇と似たような個性を持つ彼女はただ一つ、彼らとは違う所があった。
それは……
『血が……血が、足りない……』
そう、"血"だ。彼女の個性を発揮するには血を吸い、力を蓄えなければならない。
吸血鬼は血を吸い、復活して暴れ回るという説が現在では有力……というか、そういわれている。
しかし、彼女の場合、誰でもいい訳では無いのだ。
吸えるのは、彼女と契約をした者の血のみ。つまり、彼女と契約した者がいなければ、彼女は力が出せず、また、力尽きてしまう。
「さっきまでの威勢はどうしたァ?お嬢さんよぉ〜」
『くっ…………』
今すぐ近くにいる人を契約してもいい。
でも、契約した人は死ぬまで私に血を捧げなければならない……つまり、一生彼女に縛られなければならないのだ。
彼女はそう思うと、やっぱり…………契約するのが難しい…………と考えてしまう。
しかし、敵はまだ大勢いる。
「最後の太陽を見ておけよぉー?俺が楽にしてやっからさ〜」
『っ………………!!』
彼女が目を瞑った瞬間
パキパキパキッ……という音ともに敵が凍らされていた。
これができる人は一人しかいない。
『轟君!!!!!』
「大丈夫か?」
同じクラスの轟焦凍だった。彼の個性は"半冷半燃"。彼の個性をざっくり纏めるとチートである。
『ありがとう…!』
「あぁ……影闇、大丈夫か。随分弱ってるな……」
『…………私の個性がちょっと、ね……』
クラスで、彼女の個性の特性を知っている子は極一部。ほとんどが女子だ。
「吸血鬼……?」
『うん……でも、今は……力が、足りない。』
そして、血も足りない、とボソッと呟いた彼女の声は、蚊の羽根の音のような大きさだったが、轟の耳にはしっかり届いていた。
「血……誰かから貰うことは出来ないのか?」
『出来る……けど。でも、契約した人からしか貰えないの…
でも、契約した人はずっと身を捧げないといけない…
ずっと私と一緒にいなきゃいけない、から。』
続く
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作者名:arieru:アリエル.ミミズ.トカゲノシッポ | 作成日時:2017年4月22日 21時