【Dグレ】悪魔の声が聞こえる未来予知者【７】

三百二十七夜。 ページ28

「こちらビーチャム隊。不審な無線ゴーレムを発見した。教団製と酷似しているが独自の回路をもっている模様」



『あれは…ジョニーが持ってたふわふわゴーレム…』



穏やかだった街全体がざわつき始めていると気づき、改めて屋根から下を覗くと至るところに教団からの探索部隊がうろついている。



その内の一つの部隊が私がいる屋根の丁度真下にいる。ジョニーが独自で作ったと言っていたゴーレムを結界装置で捕獲していた。



『(一つの部隊に４〜５人配置されているとするなら、この街には今相当の探索部員が…)』



これでも私は追われている身。捕まってしまえば全てが台無しになる。



『(油断はできない…出会い頭に全てのファインダーの意識を飛ばしていくのが得策かもしれない)』



「よし、行くぞ。アレン・ウォーカーがいる可能性が高い。結界装置の出力レベルを最大にしとけ」



私の目の前には４人のファインダーがいる。まずはこの人たちからだ。



そう決めて屋根の上に立ち上がろうとした時だった。私が見ていた方向とは逆、背後から声が上がった。



「すみません、そこの屋根に登っているお嬢さん！お話を伺いたいのですが！」



「すごいな…女性が何故あんなところに居るんだ」



「今の時代、活発な女性もいらっしゃいますよ」



最悪だ。ファインダーたちはまだ私に気付いていないようだが、このままいけば確実にバレる。



あの男との戦闘で顔を隠すのにうってつけだった髪の毛も無残に切り取ってしまったし、今の私が自分の正体を隠すにはこれしかない。



声からして３人しかいないようだ。他の部隊に連絡される前に終わらせなければ。



意を決したAは後ろを振り向き、軽々と屋根からファインダーたちの前に飛び降りる。
その身のこなしに驚いていた３人は、降りてきた人物の顔を見て更に目を見開いた。



「あ、あなたは元帥…っ」



『ごめんなさい、見なかったことにしてください』



「ぐっ…！？」



一番手前にいた男性に続き、結界装置を発動させようとしている二人目の男性、そして別部隊に応援要請を出そうとしていた三人目の男性のこめかみや顎を少しばかり強打する。



こめかみを強打されると平衡感覚が失われ、意識不明に。顎の先端は脳震盪が引き起こされる。
今の私ができるのはこういった近距離戦で相手の意識を奪うしかない。



『鴉は何とも思わなかったけど、探索部隊の人たちには罪悪感が出てきちゃうな…』

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