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「布だけで良いの?」
「はい、色々と内ポケットとかアレンジしたいところがあるので自分で作るって決めてたんです」
「そう…そうね、これから着ていく大切なものだから、Aさんが気に入るものを作るのが一番だわ。良いものが出来るといいわね」
「お姉さん服も作れるの?」
「うん、裁縫はココみたいに小さい時から得意でね」
「お姉さんは本当になんでもできちゃうね!」
と、元気よく言ったかと思えば、花冠を手に鼻歌を歌い始めるココ。
ココのお母さんが布を袋に入れながら、問いかけた。
「すごく綺麗な花冠ね。それどうしたの?」
「えへへ、いいでしょ〜!Aお姉さんがくれたんだよ!」
「採寸してもらった些細なお礼です」
もちろん代金もお支払いしますよ、とポケットからお金を取り出す。
「Aさんはココを喜ばせるのが上手ね」
微笑んだココのお母さんは、代金を通常の半分で良いと言ってくれた。
魔法道具を充実させるために色々買ってしまった私はギリギリで生活していたため、有難くお言葉に甘えさせてもらった。
・ ・ ・
ココと少し遊んで、私は布の他に必要な物を購入して自分の家へと帰ってきた。
改めて孔雀緑色の布をテーブルに広げて眺める。
見れば見るほどに綺麗で、無意識のうちに口元が緩んでいた。
「ココはセンスあるなぁ」
早くこの布で作った魔法服を着たい。
ココはどんな顔をするかな?
きっと喜んで駆け寄って来てくれるんだろうな。
でも、考えてみればこれを着るのはアトリエ卒業の時からであり、ココとは会わないことになる。
私が何かの用事でこの町に訪れればいつでも会えるのだけど、卒業したら1人で頑張っていかなければいけないからそんな時間ないかもしれない。
「…またここに来れるように頑張ろう」
そう決意し、次に頭に浮かんだのはキーフリーさんの顔だった。
キーフリーさんはこの服を着た私を見てなんて言ってくれるんだろう。
あの人は皆に優しいから、似合ってるねって言葉が返ってくるくらいかな…。
そうだ、キーフリーさんは何色を選んだのかな。
考え始めると瞬く間に頭の中はキーフリーさんの事で一杯になる。
ふと目に入ったカレンダーで、ここでの期間があと少ししかないことに気付いた私はその気持ちを振り払って勉強に集中した。
「キーフリーさんに負けてられないからね」
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アストル(プロフ) - 椿原よるさん» 植物たちと会話できるということですね!!その時の状況に応じて自分だけに聞こえるようにしたり全員に聞こえるようにしたり出来るのも良いですね…!前回の嬉しいコメントと今回の案、ありがとうございます、椿原よるさん´`*是非使用させて頂きます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: debaada4f5 (このIDを非表示/違反報告)
椿原よる(プロフ) - ぜひ、私からも案を出させてほしいと思い、考えてみました。植物たちの声が風に乗って聞こえてくる…というのは如何でしょうか。(その魔法を発動した人にしか聞こえないというのもいいかと) お役に立てたら、嬉しいです。 (2018年3月2日 22時) (レス) id: 84ddbc797d (このIDを非表示/違反報告)
アストル(プロフ) - 月夜さん» あぁ…なんて素晴らしい案なのでしょう…!!話の流れに沿わせるために付け加えたりするかもしれませんが、月夜さんの考える魔法を使える場面を思いついたので楽しみにしていてくださいね!本当に案をありがとうございます! (2018年3月2日 20時) (レス) id: 60a9ea40e3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 再度コメント失礼します。魔法の一案として、なのですが…植物と風ということで花弁や葉を使い、つけた人の気配を探ることが出来る能力。 風で飛ばして通信機のようにすることも可能などはいかがでしょう(戦闘っぽくなりますが、迷子防止などに役立ちそうな...) (2018年3月2日 0時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 本当に面白いです!!なかなかこの漫画の夢ないので!更新、頑張ってください!!! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
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