好きな所の日。 ページ13
私達はあれから、何度かデヱトを重ねていました。行く場所は毎回違いますが、帰り際に、必ず口づけをします。
名残惜しそうに私を見送る作之助さんが、愛しくてたまりません。
「……A?」
「あっ、すみません。ぼーっとしてて」
私達が今居るのは、静かなカフェです。人も少なく、穴場ですねと笑いました。
運ばれてきたホットコーヒーをストローでくるくるとかき混ぜながら、口を開きました。
「そうだ、作之助さん」
「ん、何だ?」
「……私、聞きたいことがあるんです」
__私の好きな所が知りたいです。
呆気にとられたような顔をした作之助さん。カフェに流れる曲だけが、静かな空間に響いていました。
「……笑顔、髪、優しいところ、デヱトの時の服、意外と照れ屋なところ…」
「えっ、あのっ、照れとかないんですか!?」
「あぁ、もう一つあるな。
_口づけする時の顔」
作之助さんはニタリと口の端をあげ、私に問返しました。
俺の好きな所はなんだ……、と。
「〜〜っ、」
恥ずかしくて、中々云えませんでした。というか、私がおかしいのではなくて、作之助さんの照れのなさがおかしい気がしますね。
天然って本当に怖いです。
意を決して、ぽつりぽつりと私は言い始めました。
「えっ……と、優しい目、誠実なところ、緋色の髪、天然なところ、見た目も中身もかっこいいところ、」
「それから………………全部、です」
多分あの時、私茹で蛸みたいに真っ赤だったと思います。だって作之助さん、熱があるのか?といつかのように聞いてきたんですもの。
「俺も、Aの全部好きだ」
「あの、本当に恥ずかしいので…………」
やめてください、と手で制すると、事実なのだから仕方がない、と微笑が返ってきました。
いつも飄々とした顔の作之助さんの笑みは、本当に私の心臓に悪いです。
だって、思い出すだけで、今も心臓バクバクしてますから。
……幸せな日常の1ページ、少しくらいは覚えてないと寂しいですよね。
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べにしょうが(プロフ) - もえさん» コメント有難うございます!もう一度読もうと思ってくださって嬉しいです!!こだわって、丁寧に書いた所を好きだと言ってもらえて幸せです。この小説に出会えて幸せと言っていただいて有難うございます!こちらこそ幸せです!読んでくださって有難うございました!! (2021年8月7日 22時) (レス) id: f3b55f3d47 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 今日はちゃんと最後まで読むことができました、織田作の優しさとたまに見える青年らしさからくる脆さがすごくすごく悲しくなって好きです。この小説を書いてくれてありがとうございます。この小説に出会えて本当に幸せです。駄文長文で申し訳ないです… (2021年8月7日 22時) (レス) id: 76c1001e6f (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 前に一度拝見させていただいたのですが悲しくて辛くなって途中で読むのをやめてしまいました、今日織田作の夢小説を漁ってたところこの小説にたまたま出会った為何かの縁だと、もう一度見ることにしました。夢主の幼い子に語りかけるような優しい口調に何度も泣きました (2021年8月7日 22時) (レス) id: 76c1001e6f (このIDを非表示/違反報告)
べにしょうが(プロフ) - 雨音。さん» コメント有難うございます!嬉しすぎて何を書けばいいのかちょっと迷っているのですが、あの、すごく嬉しいです!5票目が入ってた時の気持ちは今でも覚えてます……!雨音。さんだったんですね!報われた感じがしたのを覚えてます。雨音。さんも更新頑張ってください! (2021年7月10日 13時) (レス) id: f3b55f3d47 (このIDを非表示/違反報告)
雨音。(プロフ) - 支離滅裂なコメントで申し訳ありません。語彙力がないので上手く表せませんが、とにかく好きです!素晴らしい作品をありがとうございました!! (2021年7月10日 13時) (レス) id: f0e54de105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べにしょうが | 作成日時:2021年1月13日 7時