【ブラック本丸】化け猫が参りました。

7　見習いの猫 ページ8

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　そこの本丸は、美しいものだった。
　それは外見だけ。
　刀剣男子達は、美しいものだった。
　でも傷だらけ。

　審神者さんは、美しい人だった。
　けれども顔だけ。

　新しい刀剣男子を手に入れたいとかで、鍛刀ばかりに力を入れて手入れも刀装も後回し。私が来てから、一度も見せてもらえていない。

　刀剣男子達は、傷付いて疲れ切っている。
　それが日常なのか、誰もが黙って従う。
　でも休みたいと言った一振りがいた。その子を平手打ちをしたものだから、吃驚する。私もその審神者さんに手を上げてしまいたくなった。

　それでも皆が従うのは、主従関係にあるからだ。

　不憫なもの。

　私は飼い猫だった時期もあったけれど、そんな拘束はなかった。気儘な猫生活だったのだ。

　気儘が一番だにゃん。

　私なら気儘に過ごすのに。
　審神者とやらを引き受けたのは、独りに飽きてしまったからだ。

　何を躍起になっているのか、猫である私には理解出来ない。今いる刀剣男子達の傷をそのままにしながら、鍛刀に熱中している。解せない。

　猫だって、愛でられたい時がある。
　傷付いたなら、尚更撫でてほしい。

　刀剣男子達の本音はどうなんだろう。

　鍛刀を傍観していたら、一振りの刀剣男子が重傷で帰ってきた。


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