２３.俺のハナシ ページ23
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公園のベンチに並んで座った。
二宮さんが自動販売機で
ミルクティーを奢ってくれた。
二宮さんはアイスコーヒーを買った。
プシュっ、と気持ちよくプルタブの開く音が
二つ、連続して響く。
そんなに広くはない公園。
滑り台と鉄棒と砂場しかない。
公園の象徴と言えるブランコがない公園だった。
「まだ気にしてんの？」
「私も女なんです。」
目の下を指差してクハハ、って
楽しそうに二宮さんが笑う。
さっき泣いてしまったせいで
化粧落ちが酷くて、パンダみたいになってる私の顔。
夜だから暗いとは言えど、電柱もあれば顔は普通に見える明るさ。
「見られても減るもんじゃないでしょ」って二宮さんは馬鹿にするけど、そういう事じゃないの。
「二宮さん。」
「んー？」
アイスコーヒーを喉に流す度に
揺れる喉仏が、男っぽくてやっぱりスキ。
そんな些細なことも私には見逃せない。
二宮さんのすきなポイントが
会う度に、どんどん増えていくの。
「いいんですか？明日朝早いって…」
「帰ったらお前泣くもん。」
「もう二宮さんの前では二度と、泣かないから帰って下さい。」
「女の子は素直な方が可愛いよ。」
「・・帰って下さい。」
帰って欲しくない、って
私の本心、私だけじゃなくて二宮さんも
簡単に気付いてる。
でも、素直になれない。
ここで素直に「帰らないで。」なんて台詞
言えたら、二宮さんは私をスキになってくれる？
きっと、二宮さんはならない。
面倒臭がるでしょう？
だから、嘘でも、見え透いた嘘を貫き通すの。
「お前は黙って座ってりゃいーの。」
立ち上がって二宮さんを帰らせようとしたら
返って肩にドン、と下の方に体重をかけられて
トン、とまたベンチに逆戻り。
「俺の話、聞きたい？」
「二宮さんの話？」
「そう、俺の話。」
二宮さんは静かに私をジッと見つめた。
その瞳が、少しだけ悲しい色をした気がした。
いつもよりも強く、儚かった気がした。
「・・ききたい。」
「ンフフ、そこは素直なんだね。」
いつでも二宮さんの目はどこか、色褪せていた。
笑っているのに、笑っていなかった。
親近感を感じていたのも、ホント。
二宮さんなら、解り合える気がしていた。
そっと笑う二宮さんの横顔が、
切ないほどに、綺麗で、苦しかった。
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作者名：べに | 作成日時：2017年2月24日 8時
