五十八話 ページ8
「行ってくるよ。」
『はい、行ってらっしゃいませ、先生。今日はどうなさいます?』
「……そうだね、神羅くんのことが心配だから当分は泊まらせてもらおうかな……」
『わかりました、一二三と独歩にも伝えておきますね。お気をつけて。』
「ありがとう、神羅くんも顔色が良くないからゆっくり休んでくださいね。」
独歩の後からのんびりと準備をして寂雷は車へ乗り込む。神羅はエプロンのまま見送る。時刻は午前7時過ぎ、二人ともどうにか間に合うだろう。
『一二三、寝るならベッドに行って…』
「…………うぃ……神羅も寝よう……」
『…………そう、するよ…』
机の上を片付けながら半分眠っている一二三に話しかける。
袖を引っ張られ、下げた食器を洗おうと移動しようとするのを止めてエプロンを外し髪も解くと少しフラつきながらも一二三を持ち上げると移動し始める。
彼の身長は162cmであり、一二三との差は16cm、体重に至っては(差が)26kgなのにもかかわらず、だ。
小柄な体格、非常に軽い体重だが殺し屋として、死神と呼ばれるようになるまでその名を知らしめた力は本当なのである。
「!?か、神羅、俺っち持ち上げて……!?ん!?」
『あれ、起きたの…?取り敢えず寝よう〜……僕疲れた…』
「え、あ、うん、それは、いいんだけど、神羅大丈夫?ほ、骨折るなよ…?」
『大丈夫だよ、そんなことはないから…』
一二三の心配の言葉に少し悲しげに微笑むとそう返した。
悲しい事に、彼の身体は過去の融合実験により、ヒプノシスマイクに耐える為に色々と改造、基投薬などにより身体は頑丈になってしまったのである。
部屋に着くと一二三をゆっくりと下ろして、本人はふらりと倒れ込むようにベッドに着く。
そんな神羅に布団を掛けて己もそのまま眠りに着いた。
時は飛び、時刻は正午。
神羅は眠っているが一二三は静かに起き上がると昼食を作るために抜け出す。
「(……昼飯……どうすっかな……神羅調子悪そうだったし…たまご粥でいいか……俺もそんな食えない…)……ふぁ………」
冷蔵庫をぼんやりと見ながら欠伸をして昼食を考えた彼は卵と葱を取り出すと粥を作り出す。
「(そういや先生が、〈少しでも外に慣れる為に何処でも良いので散歩した方がいい〉って言ってたなぁ…………神羅が大丈夫か………食ってから考えよう…外に慣れる、ねぇ……リハビリみたいなものか)」
先日寂雷と話した内容を思い出しながら見た目も美味しいたまご粥を完成させる。
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伏見桜(プロフ) - 鳳李千歳さん» ありがとうございます!少々雑な過去回になってしまいましたが…wこれからもよろしくお願いします! (2020年4月6日 7時) (レス) id: 5f2347556f (このIDを非表示/違反報告)
鳳李千歳(プロフ) - 続編おめでとうございます(≧∇≦)bこれからも頑張ってください!夢主くんの過去?がわかった瞬間驚愕しました!いつも応援してます! (2020年4月5日 2時) (レス) id: 94a41c4f40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伏見桜 | 作成日時:2020年4月4日 11時