九十三話 ページ43
『……っく…………』
「…あの、無理でしたら私運びますから……」
『…………うぅ…すみません、お願い、します…』
地面に座り込んだまま、腕を掴んで立とうとするが無理だったようで見兼ねた銃兎がそう言い、神羅はその提案を飲む。
神羅は銃兎の背中に背負われ、火貂組の門を潜った。
「……よぉ、遅かったな銃兎。」
「…五分と経ってないからな、左馬刻…」
「知るか。取り敢えず食え。」
『お、美味しそう…』
「……不味くはなさそうですね。」
この短時間で朝食を三人分用意したのか、左馬刻の前の机にはトーストと目玉焼きと焼かれたベーコン、生野菜があった。
銃兎はソファーに神羅を下ろすと、自分もその隣に座る。
「……で、千堂。俺は情報を貰いたいんだが……」
『は、はい……どの情報で……』
ちまちまとトーストを食べる神羅に少し話しかけ辛そうに左馬刻はそう言った。だが意外にも直ぐに口の中のものを飲み込み、神羅はどの情報が欲しいかを聞く。情報は全て頭の中にあるのだろうか。
「猫春組の…」
『……嗚呼、火貂組に恨みを持っている組ですね。先に潰しておくのですか？』
左馬刻が組の名前を口にすると神羅は雰囲気が代わり、ニコリと笑顔でそう答えた。これが彼の仕事モードなのだろうか。
「あぁ、そのつもりなんだが逃げるのが上手くてな。いつもいいとこで逃げられちまうからその逃げてる先について知りてぇんだが…知ってるか？」
『はい、知っておりますよ。僕は情報屋ですから。』
神羅はトーストを手に持ったまま笑顔で答える。この代わりように銃兎は戸惑っているようだが、左馬刻はこちらの方が気が楽なのか慣れたように話していた。
「！本当か。助かる。幾らだ？」
『……今回は助けていただいた恩があります、特別に今回と次回なら無料で良いですよ。』
「……そうか。」
『後ほど其方にお送りしますね。口で言っても良いのですが、誰が、何処で、聞いているかはわかりませんので。』
「！あ、嗚呼、そうだな。…………こっちにいるのか…」
『まだ起きてらっしゃらない様ですが、ね。二、三人程いらっしゃいますよ。猫春組の方。』
「ま、待ってください、千堂さん、貴方一度も火貂組の人とは会っていないでしょう…？なんで知って…」
『それは僕が情報屋だからですよ。入間様。』
サラッとこの火貂組に紛れ込んでいる猫春組の者についても遠回しに教えた。神羅の情報網は恐ろしい。
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伏見桜(プロフ) - 鳳李千歳さん» ありがとうございます！少々雑な過去回になってしまいましたが…wこれからもよろしくお願いします！ (2020年4月6日 7時) (
レス) id: 5f2347556f (このIDを非表示/違反報告)
鳳李千歳(プロフ) - 続編おめでとうございます(≧∇≦)bこれからも頑張ってください!夢主くんの過去？がわかった瞬間驚愕しました！いつも応援してます！ (2020年4月5日 2時) (レス) id: 94a41c4f40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伏見桜 | 作成日時：2020年4月4日 11時
