chapter 55 ページ5
*
コンコン―――
『石川くーん』
『そろそろ起きないと、朝ごはん無くなっちゃうよー』
『みんなに食べられちゃうよー』
コンコンコン―――
『主に高橋くんにー』
『…』
『………うぉいコラー』
『……………』
返事のない扉に向かって延々と話し続ける私は、
どれだけ滑稽に見えることだろう。
*
合宿が始まってから初めてのオフ。
いつもよりゆっくり寝る人。
普段と変わらない時間に規則正しく朝食を済ませる人。
そして
いつまでたっても起きない、
石川祐希。
数少ない貴重なオフをどう過ごそうと本人たちの勝手だ。
だけど、
いくらオフとは言えそろそろ起きた方が良いんじゃないか?
そう思って声をかけに来たは良いけど、さっきから少しも反応がない。
…もしかして、本当はすでに起きていて部屋にいないとか?
いやでも。
さっき食堂で高橋くんが
「幸せそうに寝てたから!起こさなかった!」
って、
米粒飛ばしながら言ってたし。
うーーーん…。
『もう…いっか』
*
「あれ、Aちゃん出かけるの?」
しばらくして、
部屋で身支度を整えた私はもう一度食堂に向かった。
ここの食堂はなかなか居心地が良いのか
部屋にいない時はだいたい、みんなここに集まっている。
入り口から顔だけ出すと
窓際でコーヒーを飲んでいた山内さんとタイミング良く目が合った。
『あ、はい。行ってきます』
「祐希は?」
『諦めました。笑』
「笑。大学?」
『―も、行けたら。まずは家戻って郵便物とか色々やってきちゃいます!』
「そっか。気を付けてね」
そう言いながら山内さんは席を立ち、こちらに向かってくる。
『、?』
「ん?お見送り」
『え、あは。ありがとうございます』
年上、やっぱり優しい。
*
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Yuri(プロフ) - KANNAさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)笑っていただけました??キュンキュンしていただけました??(;▽;)嬉しいです!!個人的に健太郎さんのギャグパートが書いてて楽しかったです。笑 お気遣いと労いの言葉にも救われる思いです…ありがとうございます( ; _ ; ) (2016年6月12日 16時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - キュンキュンもして・・・本当に楽しい作品です!お仕事の合間で負担になるかもしれませんが、もしまた新しいストーリーを書いて下さったら飛びついて読みます!笑 最高です!お疲れ様でした(*^^*) (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - 読ませて頂きました。ストーリーもそれぞれの考えや言葉も本当に素敵で声に出して笑うこともあれば、 (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - じじさん» コメントありがとうございます(;▽;)イキナリでも予告ありでもなんでも構いません!!嬉しいです!!(;▽;)幸せに…なってもらえたなら本当に、作って良かったなぁ!!って思います。ありがとうございます。 (2016年6月11日 3時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
じじ(プロフ) - 初めまして。全部読ませてもらいました!とっても感動し、幸せな気分を味わえるお話でした(*^ω^*)作者さんの書き方?描写?がとっても好きです!!次作とか作る予定があればぜひ楽しみにしています゚(゚´Д`゚)゚。いきなりコメントしてすみませんでした(><)笑 (2016年6月11日 1時) (レス) id: 0114c047a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuri | 作成日時:2016年1月9日 0時