chapter 56 ページ6
*
フワフワ。
ふわふわ。
『…ぅ、ぉぉう』
玄関に向かって歩きながら
隣には山内さんがいるというのに、私は女子らしからぬ声をあげていた。
ここ最近、毎日、ほぼ24時間、ずっとジャージだったから
久しぶりのスカートが落ち着かない…。(ロングだけど)
足がスースーする…。(自分で穿いといてアレだけど)
(パンツにすれば良かったかな、着替えようかな)
チラリと遥か頭上の顔を見る。
「ん?」
いやでも、もう玄関だし。
山内さん、何故か見送り来てくれてるし。
『…いえ。行ってきます』
行ってきましょう…!!!
今日の私は「諦める」という選択肢しかないようだ。
「遅くならないうちに帰ってくるんだよー」
なんて、半分棒読みで、しかも真顔で手を振る山内さんは
色々アンバランスで身長のわりにすごくかわいい。(年上に失礼)
『はあーい』
山内さん、失礼なこと思ってごめんなさい。
そんな気持ちを込めて同じように手を振り返す。
「、あ」
『…はいーーー?』
外に出て少し歩き出したところで、後方から思い出したような声。
「Aちゃーん」
『はーい!』
さっきより距離が出来た分、少しだけ声が大きくなる。
山内さんも、こっちに声が届くように口元に手をあてている。
「スカート、かわいいよー」
『…』
『、えっ…!』
バッと、自分のスカートを見る。
めくれてない!?
下着に挟まってたりしない!?
変なところない!?
…よし大丈夫!
でもかわいくもないよ山内さん!!!
『、!』
思わず挙動不審な行動をしていたことにハッとして
慌てて山内さんに顔を戻す。
ニッコリとも、ニンマリとも言えない笑顔で
玄関先で何も言わずにまだ手を振り続けている。
顔が、カァーッと熱くなるのがわかった。
『………行ってきまーす!!!』
年上、やっぱりあなどれない。
*
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Yuri(プロフ) - KANNAさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)笑っていただけました??キュンキュンしていただけました??(;▽;)嬉しいです!!個人的に健太郎さんのギャグパートが書いてて楽しかったです。笑 お気遣いと労いの言葉にも救われる思いです…ありがとうございます( ; _ ; ) (2016年6月12日 16時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - キュンキュンもして・・・本当に楽しい作品です!お仕事の合間で負担になるかもしれませんが、もしまた新しいストーリーを書いて下さったら飛びついて読みます!笑 最高です!お疲れ様でした(*^^*) (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - 読ませて頂きました。ストーリーもそれぞれの考えや言葉も本当に素敵で声に出して笑うこともあれば、 (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - じじさん» コメントありがとうございます(;▽;)イキナリでも予告ありでもなんでも構いません!!嬉しいです!!(;▽;)幸せに…なってもらえたなら本当に、作って良かったなぁ!!って思います。ありがとうございます。 (2016年6月11日 3時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
じじ(プロフ) - 初めまして。全部読ませてもらいました!とっても感動し、幸せな気分を味わえるお話でした(*^ω^*)作者さんの書き方?描写?がとっても好きです!!次作とか作る予定があればぜひ楽しみにしています゚(゚´Д`゚)゚。いきなりコメントしてすみませんでした(><)笑 (2016年6月11日 1時) (レス) id: 0114c047a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuri | 作成日時:2016年1月9日 0時