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chapter 79 ページ29

*





「―――え、」





『…や、なんか』

『最近、石川くんとあんまり話してないなー…って』





泣きそうなのを堪えるのに必死で、

ふにゃふにゃした情けない顔で笑う私を

石川くんは目を丸くして見ている。





「え、いやっ…」

「ちがくて…!Aさんは何もしてなくて…」





ああ―――、良かった。





あたふたし始める石川くんとは反対に、私は
自分が何かしてしまったわけじゃないとわかって
ほっとする。









(嫌われたわけじゃ、ない)









そう思ったら堪えていた涙がどうにも抑えられなくて、





「―――!」





ほろりと零れた。









「ごめんAさん!…ごめん!!」





さっきよりも慌て始めた石川くんは、
自分のジャージの袖をぐっと伸ばして
私の頬を流れた涙を、ぽんぽんと拭ってくれる。



『ごめっ、なんかちょっと…ホッとしただけで―――大丈夫、』
「…、」



泣いてしまったことも、石川くんを困らせてしまったことも
全部が恥ずかしくなって、

大丈夫、ともう一度言って
彼の手をそっと掴んで下ろしてもらう。





「…ごめん、Aさん」
『―――、』



眉を下げて謝り続ける石川くんに、
やっぱり、言わなければ良かったと後悔する。



自分の不安定な気持ちをスッキリさせたいがために
大事な時期の彼に、余計なことを考えさせてしまった。





謝らないといけないのは私の方じゃないか。

そう思って口を開きかけた時―――









「Aさんは…」









「マサさんが………好きなんでしょ?」





*

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Yuri(プロフ) - KANNAさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)笑っていただけました??キュンキュンしていただけました??(;▽;)嬉しいです!!個人的に健太郎さんのギャグパートが書いてて楽しかったです。笑 お気遣いと労いの言葉にも救われる思いです…ありがとうございます( ; _ ; ) (2016年6月12日 16時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - キュンキュンもして・・・本当に楽しい作品です!お仕事の合間で負担になるかもしれませんが、もしまた新しいストーリーを書いて下さったら飛びついて読みます!笑 最高です!お疲れ様でした(*^^*) (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - 読ませて頂きました。ストーリーもそれぞれの考えや言葉も本当に素敵で声に出して笑うこともあれば、 (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - じじさん» コメントありがとうございます(;▽;)イキナリでも予告ありでもなんでも構いません!!嬉しいです!!(;▽;)幸せに…なってもらえたなら本当に、作って良かったなぁ!!って思います。ありがとうございます。 (2016年6月11日 3時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
じじ(プロフ) - 初めまして。全部読ませてもらいました!とっても感動し、幸せな気分を味わえるお話でした(*^ω^*)作者さんの書き方?描写?がとっても好きです!!次作とか作る予定があればぜひ楽しみにしています゚(゚´Д`゚)゚。いきなりコメントしてすみませんでした(><)笑 (2016年6月11日 1時) (レス) id: 0114c047a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yuri | 作成日時:2016年1月9日 0時

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