命ばっかり ページ1
「おはよう」
「…おはよう」
お互い仕事をしている。そしてそこから価値が捻出される貴重な休日を意味もなくすりつぶしている。
といっても普通のカップルのようにはしない。上手く説明出来ないがおかしくなってしまった。
「愛してるよ」
嘘だ、と思う。
ただお互いの感情を確かめるだけの口先だけだ。そんなのは嫌だ。と欲を出す。
「うん」
それでも口から零れ落ちたのはそんな一言であったことに苛立ちを覚える。
でも、これ以上求めるなら。
これだけじゃないなら。
なんだって出来るはずだ、と諦める。
ある日二人は旅に出た。
といっても夜の町をどこまでも歩くだけだが。
途中で眠りこけて夜を越し、動けなくなってしまった男のことなど忘れて夢中で女は歩き出す。
途中で女は思いを馳せる。
その二人は確かに満たされていた。
お互いが高学歴、高収入。浮気もない。理想だった。
それ故に好奇心がなかった。
だから面白さ、新鮮さがなかった。
彼らは賢明であるがゆえに全てを悟っていた。
彼らは、"知らない"を知らなかったのだ。
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作者名:ベルサイコカノン x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bellkanon5
作成日時:2019年2月3日 11時