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物理。肆 ページ6

やっと夜になった。
私たちは頑張って布団を二つひいた。手が離れないから布団はぴったりくっついている。
ゴロンと転がって昼間のことを思い出してみれば、大変だったなあ…と眠くて回らない頭で考える。


…右行こうとしたら不死川さん左行こうとするし。


そして思ったのが、私不死川さんのこと全然知らないな、ということ。
お互いを知らなすぎるからこうも正反対な行動をしてしまうんじゃないか、と私は考えたのだった。


『ということで、自己紹介しましょう…』

「眠いんだろォ、大人しく寝ろや…まあいいけどよ」


この人ならそう言ってくれると思っていた。
一日過ごしてみて、不死川さんは強面なだけで優しい人だということは理解したつもりだ。
言い出しっぺが言わないと格好がつかないので、私は眠気と戦いながら口を開く。


『天野A、19歳です』

「お前19なのか…童顔だなァ」


気にしてるのに…と一瞬へこんだが、気を取り直して質問をする。
答えやすいのは…好きな食べ物、とかだろうか?


『不死川さんの好きな食べ物はなんですか?ちなみに、私は金平ごぼうです』

「顔とは反対に渋いな」

『顔のことはもうやめてください…』


そう言うと、不死川さんはボソッと何かを呟いた。
しかし声が小さすぎる。
不思議に思ってチラリと顔を見てもう一度聞くと、彼はなぜか恥ずかしそうに答えた。


「…………おはぎ」

『お、おはぎ!?』


一瞬目が覚めた。誰がこの怖い顔からこんな可愛いものが語られるかと予想するだろうか…
これが巷で噂の萌えというやつなのだろうか?
蜜璃ちゃん的に言えばきゅんきゅんするという感じだ。可愛い。


「悪りィかよ…」

『いや全然……思ったより可愛いですね、おはぎ』


手を繋いでいても顔色一つ変えない不死川さんが恥じらっている。
それを見て謎の優越感に浸る。
交際経験無し!の私は殿方と手を繋ぎっぱなしなことで何度顔を赤くしたか。
おはぎの衝撃で一瞬目が覚めた反動か、急に睡魔が本領発揮しだしたので欠伸が出てしまう。


「眠いんなら早よ寝ろや…喋るのくらい昼でも出来んだろォ」

『…絶対明日また喋ってくださいね…』


そう言ってすぐ、私の意識は夢の中に飛んで行った。
手は繋がったままだが、誰かが隣にいるというのはなぜか安心感があった。

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ナイトウルフ(プロフ) - 最後、、、!一気に読んじゃいました(笑)さねみんイケメン…この話が現実になればいいのにッッッ 素敵な作品をありがとうございます!! (2022年2月13日 1時) (レス) @page28 id: 1bd66c2c15 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 夢中になって読みました! 他の柱の物理も読みたいですーーー! (2020年12月3日 0時) (レス) id: 1c30a1e22f (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - 番外編のおばみつちゅき(( (2020年7月31日 14時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
銀時 - 凄い面白かった!天元が爆笑してるの想像したらめっちゃ笑えてきた! (2020年4月24日 3時) (レス) id: 6c694a1b22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬田 - 幸せです (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空風まりも | 作成日時:2019年12月14日 20時

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