物理。伍 ページ7
直ぐに寝息を立て始めた隣の同僚をチラリと見て、俺はため息をついた。
眠いんなら寝ろと言ったはいいが、こいつはなんの警戒もせず本当にガキみたいに寝やがった。
「…ックソ、調子狂う…」
ぐーすか隣で呑気に寝ている女…星柱の天野Aとは、これまで特にこれといって接点は無かった。誰が年下で異性の同僚と手ェ繋いで一週間過ごすなんて思うか。
…なのにこいつ、昼間手を繋いだりすることは照れるくせして一緒に寝ることに対しては全くと言って警戒も抵抗もしないのだった。それもまた俺を悩ませる原因なのだが。
まあ、特に何もする気はない。
まともに喋ったのも数える程しかなかったからな…こいつは時透の少し前に柱になったんだったか。
『…おはぎ…』
「…俺はおはぎじゃねェくっ付くな…って言っても無駄か」
さっきの話に引っ張られてるのか知らねェが、おはぎ…と頻繁に俺を呼びつけて寄ってくるのだった。お陰で寝れる気がしない。いい年した奴がくっ付くな。
そう、俺はこいつに調子を狂わされているのだった。
いつもなら布団に入りゃあすぐ寝付けるのに今日は目がかなり冴えている。
「…呑気に寝やがって…」
俺の方を向いて横向きに眠る天野を観察してみる。
確かに童顔だ…だけど顔は悪くない。素朴だが。
呑気に寝ているのを見て少し苛ついたので、頬をつついてみるも効果はなく。
『……ん……おはぎ…』
と言うだけで眠り続けているのだった。
いくらなんでもおはぎに感化され過ぎだろ。
そう突っ込みたいのを我慢する。
…こう俺が疲れてんのは煉獄の所為でもあるのだった。
後で覚えとけよ…
昼のことを思い出せば少しは眠くなって来た。
手も繋ぎっぱなしで疲れるので天野と同じように横を向いて目を閉じる。
やっと寝れそうだな…と思って意識を手放しかけた時だった。
『……んぐ…』
この馬鹿、抱きついてきやがった。
その衝撃で微睡みかけてた頭が一瞬にして覚めた。
柔らかい肌が触れる。ふわり、といい匂いが鼻を掠める。
そして、今日風呂入ってないのになんでこんないい匂いすんだよ、とか関係ないことを考えて。
…こいつ、急に一週間一緒に生活することになった男に気を許しすぎじゃないのか?
少しこいつの生態が心配になったのだった。
……くそ、こいつのせいでまた寝れなくなった。
調子狂わされ過ぎだろォ、俺…
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ナイトウルフ(プロフ) - 最後、、、!一気に読んじゃいました(笑)さねみんイケメン…この話が現実になればいいのにッッッ 素敵な作品をありがとうございます!! (2022年2月13日 1時) (レス) @page28 id: 1bd66c2c15 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 夢中になって読みました! 他の柱の物理も読みたいですーーー! (2020年12月3日 0時) (レス) id: 1c30a1e22f (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - 番外編のおばみつちゅき(( (2020年7月31日 14時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
銀時 - 凄い面白かった!天元が爆笑してるの想像したらめっちゃ笑えてきた! (2020年4月24日 3時) (レス) id: 6c694a1b22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬田 - 幸せです (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空風まりも | 作成日時:2019年12月14日 20時