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×××



平日の夜。
終わらない資料に適当に落書きをした。

それを紙飛行機にして、宙に浮かべる。
だめ、低空飛行。すぐに墜ちた。


「はあ、」


もう、殆ど部下は家に帰した。

どの部下も、私の役に立とうと必死になって、変に気を利かせるから、正直邪魔だった。

別に、部下がいなくても並大抵の事はできるし、静かな方が捗る。


本棚の前に墜ちた飛行機に目をやって、先程の思考を呼び戻した。

捗る?

これは違うんだ、まあ、偶には、息抜き。



そんな時、大きなドアから、固くて華奢な甲高い音が響いた。



「太宰さん、」



すかさず、小さく開いた扉の隙間から顔が覗く。



高い鼻に、長い睫毛、目を細めた時に膨らむ涙袋。


人形のように美しく、不思議なオーラを漂わせる彼女はこの部屋に近づくとオーラと物音で特定できた。


私が小さく微笑めば、彼女は頷き、まるで礼儀の教科書のような振る舞いで中へ這入ってきた。

彼女の周りには、目視できない、見えない桜の花弁が舞っている。

きっと、彼女の登場シーンには古いピアノの音楽でも鳴っていそうだと思った、ジムノペディのような。



「失礼します」

「やあ、よく来たね」

「首領が、お呼びですよ」

「ありゃ、」



面倒臭いったらありゃしない。
私はいつになったら帰路に着けるのだろうか。

私の本心なんて、蔑ろ。
ここでは、最上階に鎮座するあの男が全てだ。

私は重い腰を上げて立ち上がった。





部下の顔を見詰めると、
彼女は心底嫌そうな顔をする。



「…なにですか、」

「今日も可愛いね」

「黙ってください」




ぶれないなあ。


まあ、可愛いのは本当だ。
愛らしい顔に、程よいバランスを保つ身体。


それに、愛想が良くないところだって、彼女のチャームポイントだ。




「もしかして、私が帰るまで待っててくれるの?」

「なわけないでしょ、早く行ってください」

「君は本当にぶれないね」



夜の暗闇に冷やされた長い廊下を、一人分の革靴の音を響かせて歩いた。

あーあ、そう云えば

織田作はいま、なにをしているんだろうか。

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DEEN - めっさ面白くて一気読みしたしもう一回読んできますね!!更新待ってます! (2019年12月29日 0時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
みらヰ(プロフ) - kkさん» ありがとうございます!!温かいコメントに創作意欲が湧くタイプの女なので何よりの活力です!!嬉しいです、頑張ります!! (2019年2月4日 19時) (レス) id: 09cb0bcf34 (このIDを非表示/違反報告)
みらヰ(プロフ) - 千風さん» ありがとうございます!!色々重なって遅くなっちゃいましたが、これからも頑張ります!! (2019年2月4日 19時) (レス) id: 09cb0bcf34 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 今日初めて前作から読ませていただいた者です。引き込まれすぎて一気に最新話まで読んでしまいました!これからも頑張って下さい。応援しています。 (2019年2月3日 21時) (レス) id: 760b02daa1 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - 続編おめでとうございます! これからも楽しみにしています! (2019年2月3日 14時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東 みらヰ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年2月2日 19時

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