【黒バス】夢見る少女じゃいられない【短編集】

心中 . 赤司様 @ ぽんず ページ40

｢_____ねえ、征十郎。本当に私で後悔しない？｣



そう言った途端、黄色と赤のオッドアイを持っている彼がこちらを振り向く。


彼の目をしっかりと見つめ、言葉を続ける。


｢征十郎はかっこいいよ。それに、名家の生まれだよ。だからこそ、何の取り柄の無い私なんかでいいの？｣


そう言い終わった瞬間、彼が口を開いた。


｢後悔なんてしないさ。Aを選んだことは絶対に後悔しない｣



2人の愛を確かめるかのように恋人繋ぎをして、目的地まで歩く。



20分くらい歩いて目的地まで着いた。
もう辺りは薄暗くて、はっきりと周りが見えない。


そんな中、はっきりと聞こえる波の音。


私たちはその音がするところまで歩いて行く。



｢冷たいね、征十郎。｣

｢ああ、そうだな。｣


何気ない会話をしながら、海へ向かって進んでいく。

腰ぐらいまで水があって、すごく冷たい。

でも幾ら冷たくても、私たちが結ばれるのはこの方法しかないから。


｢…A、愛してる。｣

｢私も、愛してる。｣


……ああ、大きな波が近づいてくる。


｢_____ねえ、征十郎。｣


｢もし、生まれ変わったら今度は_______｣


最後まで言えないまま、私たちは海にのみこまれた。


愛してる、征十郎。

もし、生まれ変わったら今度はこんな結末にならずに幸せに笑い合えますように。



そんな淡い思いを抱き、右手に感じる温もりを感じながら、私は永遠に覚めない眠りについた。

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