【黒バス】夢見る少女じゃいられない【短編集】

誤解 . 今吉様 @ ぽんず ページ28

烏合の衆様リクエスト
ぽんずが書かせていただきました。




｢そんなに桜井がええなら桜井と付き合ったらどうや？｣

背中から伝う冷たい感覚、そして前にはいつもの胡散臭い笑顔の彼が細く微笑む。


彼がそう言っている理由は今から少し前の3時限目の休み時間まで遡る


｢ねぇねぇ、Aはバスケ部のレギュラーメンバーで誰が好みなの？｣

そう言う事を聞いてくる友達。
恐らく私に彼氏である翔一の名前を出させようとしているのだろう。
ここで翔一の名前を出したらからかわれるに決まっている。

だからーーーー

｢私は桜井くんだよ。可愛いけど、試合になったらかっこいいところとかね！｣

そう言った途端私の前に居る友達は私の後ろの方を見て顔を真っ青にさせた。
どうしたのだろうか、
そう思い後ろを振り返ってみると翔一が不機嫌な顔をして立っていた。
弁解をしようとした時チャイムが鳴ってしまい弁解できなかった。

4時限目が終わった途端翔一は有無を言わせず強引に私の手を掴み、空き部屋まで連れていき壁に押し付けた。


そして、最初の言葉を言ったーー。


｢あれは、違うの！！そういうつもりじゃ…ｯ｣

翔一は相当苛立っているようで手首を力を込めて握った。

｢痛いｯ、痛いってばｯ！！翔一！｣

だんだん翔一が怖くなって涙が溢れる。
それを見て翔一は我に返ったようで手首を掴んだ手を自分の方にひいた。
その瞬間翔一の匂いに包まれる


｢A、ほんま堪忍なぁ。ワシ、Aがいつか桜井のところに行くと思って怖かったんや｣

そういう彼に私は何処にも行かないと言葉にするかわりに抱きしめた。
きっと翔一にも伝わったのだろう。
さっきよりも強い力で私の事を抱きしめてくれた。


私も翔一と同じように抱きしめる力を強めた。
お互いが強く抱きしめ合っていた。
5時限目の開始のチャイムが鳴ったのも聞かなかったフリをしてーーー

夕焼け . 宮地様 @ ぽんず→←両片思い . 灰崎様 @ ぽんず

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す