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「死ぬのなんか、怖く、ない、」
お前は鬼殺隊なのだ、人の為に命を捧げろ、と父に耳にタコができるほど口酸っぱく言われ
事実、柱になるまでは生き急いでいるような生き方をしていたと思う。
命なんか惜しくなかった。
大切なものも何もなかったから。
「でも、」
今は。
「今は、死ぬのが…ッ怖い…!」
大切なものが増えすぎた。
守るべき後輩や、いつまでもそばに居たいと思えるような仲間。
死にたくないと、思ってしまった。
皆には辛い思いをさせると思う。
為す術なく、腕の中で仲間が死にゆく姿を見せることになるのだから。
それでも、
「おね、がい…です、ひとりに、しないで…」
ぽた、と頬に暖かな感触。
誰かの涙が、滴ったようだ。
「だぁれ、泣いてる、の…?」
「ふふっ…皆泣いてるから、誰のか分からないわ…」
重たい瞳を懸命に開けると、見たことも無い皆の泣き顔。
あ、拭わなきゃ。
震える手を必死に上げると、皆の頬をそっと拭う。
実際は手に力が入らず、手を添えただけになってしまったかもしれないけど。
「やだ、Aちゃん、」
「へへ、皆、泣き虫、ですねぇ…泣か、ないで。わたし、は、皆の…笑った顔が、好き、だから、」
その時。
東の山から、サッと朝日が射す。
時間切れ、だ 。
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なーな - 初見です! 完結お疲れ様でした!めちゃくちゃおもしろかったし感動で涙でしたっっっ!!! 素敵な小説をありがとうございました! (2021年11月30日 15時) (レス) @page45 id: 03957af64f (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 泣いちゃったw (2021年1月25日 0時) (レス) id: b4bfec10e3 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎもち - 号泣しすぎて...う"う"う" (2021年1月20日 22時) (レス) id: 676d0f88d2 (このIDを非表示/違反報告)
さけふろ - 感動です! (2021年1月11日 15時) (レス) id: c7bf1c88de (このIDを非表示/違反報告)
夢鸞 - 号泣です。素晴らしいお話、ありがとうございました。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 640116ca2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月30日 13時