最期まで。 ページ36
目を開けると、見知った天井がそこには広がっていた。
慣れた洋館風の天井と、角と花冠が飾られたベッド。
長い間昏睡状態だったからか、少し身体は軋むけれど、どうでも良い。
マサイ「A…？」
『あ、マサイだ。』
マサイ「A？」
『Aだよー。…ちっちゃかった時の事、思い出したんだ。』
マサイは口をパクパクと動かした後、私に勢いよく抱き着いた。
マサイ「良かった…」
『えへへ…ねぇ、私ってどの位寝てた？』
マサイ「丸3日。」
『おお…』
今更ながら、自分で受けた傷の重さを知る。
そんなに寝込んでいたなんて…。
さぞかし皆も心配してるんだろうな。
マサイ「皆食堂に居るよ。行こうか。」
『うん。』
食堂の扉を開けると、6人が各々驚愕の表情を見せる。
1番先に私の方に来たのは、シルクだった。
シルク「A…？」
『うん。』
シルク「戻ったのか。」
戻った、がどちらを指しているのか分からない。
けれど、多分どっちもだ。
『うん。戻ったよ。』
シルク「っおかえり…！」
『ただいま！』
人化が解けたシルクに抱き締められ、それを皮切りに皆が駆け寄ってくる。
…ただ1人を除いて。
ダーマ「…A、ごめん。」
『いーの！生きてりゃそれで良い！おいでよ！』
躊躇いがちに踏み出された足は、1歩、また1歩と私に向けられ、そして。
ダーマ「おかえり。」
『ただいま！』
遠慮してそうな胸の中は幼少期と変わらない。
私肩を優しい液体が濡らしていった。
・
これから私は、この素敵で愛しい彼等と生きる。
代表格の赤
冷静な青
全てを包む黄色
何よりも優しい桃色
落ち着く緑
強い紫
怖がりな黒
色とりどりな彼等。
「Aー！おいでー！」
『はーーい！』
少女の背後で、柔らかな風が吹く。
机の上の本は、静かに捲れたページを戻し…閉じた。
END
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かれん - 凄く楽しく読めました！ (2018年10月27日 18時) (
レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - OSO さん» 最後までご閲覧頂きありがとうございました！他の作品の更新にも努めて参りますので、これからもどうかよろしくお願いします。 (2018年9月25日 16時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
OSO - 完結おめでとうございます！人外化系は私も好きです！他の作品も頑張ってください！ (2018年9月25日 7時) (レス) id: 04bdd4e69b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 伊達。さん» ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月19日 14時) (レス) id: 5925c39507 (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - 透さん» ちん、と読みます。話中の全てにルビを振らせて頂きます。 (2018年9月18日 22時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊達。 | 作成日時：2018年8月23日 13時
