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片(4) ページ35

滲んだ視界が鮮明に物を映すようになった時、皆は食堂で談笑していた。


そこに、シルクが扉を大きな音と共に開けて入って来た。


ンダホ「そんな慌ててどうした?」

シルク「Aが…」


全員の顔色が変わる。

シルクは次の言葉を慎重に選び、言う。


シルク「村の、生贄になるらしい。」


食堂が大きくざわめく。


困惑の中、手を叩いたのはマサイだった。


マサイ「落ち着いていられないのも分かるけど、まず落ち着け。対処法も練るに練られないだろ?」

モトキ「そうそう。で、シルク。日取りと時間は知ってるの?」

シルク「3月16日の午後5時。」


そうシルクが言った途端、モトキは微笑んだ。


それを怪訝に思う6人。


モトキ「なんだ…間に合う所か面白い展開になるんじゃない?」

ダーマ「どういう事だ、面白い展開って…!」

モトキ「まあまあ。思い出してよ。Aのお母様から聞いたでしょ?Aの生まれた日と時間。」

ぺけ「たしか…あー、そういう事かぁ…。」

ンダホ「待って待って分かんない!説明して!」

シルク「Aの誕生日は3月16日…。」

ザカオ「時間は午後5時丁度…!」


モトキ「そう。奇しくも、生まれた瞬間と生贄になる瞬間が同じなんだよ。」


にっ、と悪戯っ子のように笑うモトキ。


彼が言わんとする事が分かった。


シルク「成程…。間に合うし、上手く行けば村にも大きな傷が残る!」

モトキ「そういう事!」

ぺけ「あれ、ちょっと待って!3月16日ってさ…。」

マサイ「明日…というか、今日、だな。」


今度は阿鼻叫喚。


「嘘だろ!?」とか
「心の準備出来てないんだけど!?」とか
「手汗ヤバイ!!」とか。


そういや屋敷にカレンダーなんて無かったな…。


でも、これで全部分かった。


私は思っている以上に愛されているらしい。


さて、帰ろう。


溺愛される場所に。


愛する彼等の元に。



蜃気楼のように空に溶けゆく身体と共に、仮初の意識を失った。

最期まで。→←断(3)



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かれん - 凄く楽しく読めました! (2018年10月27日 18時) (レス) id: 9f2d1964ce (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - OSO さん» 最後までご閲覧頂きありがとうございました!他の作品の更新にも努めて参りますので、これからもどうかよろしくお願いします。 (2018年9月25日 16時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)
OSO - 完結おめでとうございます!人外化系は私も好きです!他の作品も頑張ってください! (2018年9月25日 7時) (レス) id: 04bdd4e69b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 伊達。さん» ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月19日 14時) (レス) id: 5925c39507 (このIDを非表示/違反報告)
伊達。(プロフ) - 透さん» ちん、と読みます。話中の全てにルビを振らせて頂きます。 (2018年9月18日 22時) (レス) id: fe0d9e5760 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊達。 | 作成日時:2018年8月23日 13時

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