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星空の下. ページ45

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背の高い木々の間を足早に進んで。
少し開けた場所へ出ると、夜空を見上げる彼の背中があって。




『義勇さん』


「…A、何故此処が」


『鱗滝さんが教えて下さったんです。
きっと此処に居るだろうって』




風に揺れる髪を掬って、耳にかけながら。

肩が触れるか触れないかという距離。
彼の隣で、冷えた空気を胸いっぱい吸い込んだ。

辺りには水引の花が散りばめられたように咲いていて。見上げた先には無数の星が輝いている。




『星が綺麗ですね』


「あぁ、空気が澄んでいるからよく見える」




そう言いながら、義勇さんは自分の羽織を私の肩にかけてくれる。ぱっと隣を見れば「夜は冷えるから」なんて話す彼と目が合って。

その優しさと温もりに、どうしようもなく泣きたくなってしまった。









─────義勇は、今でも己を責めている。




鱗滝さんに聞いた過去の話。
彼が抱えていたのは、計り知れないほどの苦しみで。

こんなに優しくて真っ直ぐな人が。
どうして辛い思いをしなければならないのか。

どうして、自分を責め続けながら生きなければならないのか…。

そんな事を考えているうちに、とうとう涙を堪えることが出来なくなってしまって。




『もう、過去に囚われないで下さい…っ』




ぽつり、ぽつり。
頬を伝った涙が地面に染みを作った。




.

自責の念.→←過去に迫る.



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作者名:Hana :*・ | 作成日時:2020年7月9日 17時

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