Vanilla_16 ページ16
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さっきまで静かだった夜もザーザーと叩き落ちる音で分かるくらい強い雨。
自分を追い込むような理由が出来てしまった。
酔っ払いとは言え、この家主は彼女。
廉「なぁAさん」
『んー？』
廉「一晩、...泊まってってもいいですか？」
『いいよー』
あっさりと出てきたその言葉には、なんの深い意味も含まれない。
シラフのAさんでもそう答えるんかとても不思議に思ったけど、深読みは自分が傷つくからやめた。
そんなん、近くのホテルを探すくらい簡単に出来たけど...そんなんじゃ、いつもと何も変わらんくて、。
『ねぇねぇ一緒に寝よっ？？』
甘ったるい表情はまるで誰か特定の人に媚びを売ってるようにしか見えんくて
そんな酔い気さえも味方に付けようとしてる自分はなかなかセコい。
廉「Aさん、今自分が酔ってる自覚あるん？」
『だって今日はカイちゃんいないもん！！』
得意げな顔して出てきた名前はまた "カイちゃん"
廉「だからそのカイちゃんって誰やねんッ」
ボソリと呟いたって彼女の耳に入ることはない。
廉「てか酒くさっ！！」
色気の中には毒を交えたようなドぎついアルコールの匂い。
距離感を忘れて無防備に近づいてくる彼女に分かりやすく遠ざかる。
すると純粋な気持ちで受け止めたのか、八の字に曲げた眉毛がどこか寂しげで...
『お酒飲ませたのは廉くんでしょ？』
困り顔で言われたらこっちの術はもう何も無い。
廉「いや、...そうやけどさ」
お酒に飲まれると分かっていて辞めれない彼女も彼女やけど、
それを分かっていて勧めてしまう自分もなかなか最低な男だ。
結局はどっちもどっちって事で収まってしまう。
普通やったらこんな細い俺でも軽々しいAさんを支えるくらいは簡単にできる。
でも泥酔極まりなく、悪絡みの最高潮を迎えた彼女をここまで連れてくるとなるとそこそこ汗ばむのも事実。
『使っていいよ？』
廉「え」
棚に置かれたバスタオルを指さしてそんな事言うもんやから、酔いが覚めたんかなって一瞬その気になったんに...
『Aちゃんもう寝ちゃう〜』
酔いが覚めるのはきっと明日になりそうだ。
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ゆー - 前から見させて頂いていて、今回の小説も面白いです！更新楽しみにしております。 (2020年2月12日 1時) (
レス) id: 7ed49a0414 (このIDを非表示/違反報告)
白米王女(プロフ) - もしよければ続きで裏出して欲しいです… (2020年1月14日 22時) (レス) id: 771a82acdb (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2019年10月27日 22時) (レス) id: a50c63b20c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：muhe
| 作成日時：2019年6月22日 20時
