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_____バシャバシャと音を立てて必死に走る
外は雨が降り、視界がとてつもなく悪い
それでも無我夢中で走り、彼が言っていた場所へと足を運ぶ
____そ「…は?何、言って……」
「メイドがA様の部屋を訪れたらA様の姿がなくて……屋敷中探したけど見当たらないって言うから外を探したら…」
そ「どこに!!!!!!」
有り得ない、何故、何故
さっきまで笑っていたじゃないか
凛とした姿で、柔らかく微笑んで
何かの間違いだと、そう思っていた心は目的の場所に着いた瞬間、いとも簡単に壊される
そ「そん………な…」
使用人に囲まれてずぶ濡れになった姿で横たわっている彼女
そこにいるのは間違いなく、俺が愛した彼女で
使用人達が哀れむように俺を見る
俺とA様が一番親しかったことは誰もが知っていた
そんな目を気にせずにA様の元へ歩み寄る
そ「なんで……なんでだよ…っ…こんな…!」
瞳を閉じて動かない彼女
するりと頬を撫でる
初めて自ら触れた彼女は冷たくて涙が込み上げてくる
「どうやら……使用人達の目を盗んで外に出たみたいで…」
「原因はわかりませんが……おそらく自ら…」
原因……
認めたくない、こんな事
だけど、このタイミングで…
そ「俺の……せいだ…」
ぽつりと呟いた言葉に周りが混乱する
俺のせいだ
あの時、嘘でも「ずっとそばにいる」と言っていたら
「好きだ」と真っ直ぐ伝えていたら
身分も何もかも捨てて、貴女を連れ去っていたら
こんな事にはならなかった!!!!
そ「A様……」
ゆらりと顔を上げ、彼女を抱えてゆっくりと立ち上がる
俺を止めるざわざわと騒がしい使用人達を振り払って、ある場所へと足を進めた
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そまり(プロフ) - 響さん» わわ〜!衝動書き故に拙い文章でしたが、初作品にその様な有難いコメントを頂けて、とても嬉しいです!お読み頂き、ありがとうございました! (2022年3月19日 18時) (レス) id: b7fb9085f0 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 内容好みだし、そらるさん好きだし、ストーリー泣けるのに最後ハッピーエンドだしもう神なんですか? (2022年3月18日 20時) (レス) @page11 id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そまり | 作成日時:2021年1月23日 11時