[神田ユウ] 緋と蒼 [D.Gray-Man]

第38夜　aquamarine 4 ページ40

ラピスが神田の言葉を遮り、強い口調で言ったので、私は少し驚いた。

ラピス 「彼は……いえ、彼女は、破壊しました。この、歯車の力を借りて。」
A 「彼女？」

　あまりにも、弱い口調でラピスは話し始めた。

　私には、姉が一人居ました。
彼女は元々、父と前妻の子で、父の前妻の不倫が発覚し別れた後、私の母と結婚して私が生まれたので、腹違いの姉でした。
それでも、優しく、時には喧嘩もしましたが、綺麗で、誰にでも平等に接し、勉強もできる姉は、私の憧れでした。
でも、彼女は自ら命を絶ったのです。
理由は、姉と召使が父に結婚したい、と言った時、父は其れを許さず、召使を城から追い出そうとしたのです。
そのことに父とその召使は毎晩涙を流していたそうです。
父も、召使を城から追い出そうとはもうしませんでした。
それから幾年か経ったある日、父や城に仕える兵士、メイド達、料理人、更には町の人々が急に衰えていき、次々と亡くなって行きました。
家や城も古くなっていき、私と、何故か彼―――姉の彼氏であった召使だけが生き残ったのです。
しかし、貴方方が来て、クロスという男から話を聞いて、ようやく分かったのです。
何故、急速に時間が過ぎていくのか、私と彼だけが生き延びたのか。
そして、彼の名前が私の姉の名前なのか。
其れは、人々は怪奇現象により亡くなったことと、私がこのイノセンスの適合者であり、彼は姉の魂の入ったアクマだったからです。
昨夜、彼と話して、彼と姉を開放するために、破壊しました。
だから彼はもう、居ません。

　ラピスの目から、涙が一粒零れ落ちた。
掛ける言葉が見つからなかった。

神田 「……甘ったれてんじゃねえ。行くぞ。」

　沈黙をいとも簡単に破るこの男。
私は神田の吐いた言葉が酷い気がして、神田に対して抗議を試みようとしたが、既に彼はその場にいなかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どうも、璃羅です。
ラピス、やたら喋ってる……！
因みに、エグ・マリヌは、フランス語でaigue-marineと書いて、アクアマリン(藍玉)を指すらしいです。
「天使の宝石」、「人魚石」とも呼ばれ、「幸せな結婚」を象徴しているらしいですが、この物語では結婚できてない……。
いや、きっと天国で結婚してると思いますよ！
……私の脳内で。

次回更新予定日：８月２日

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