化け物が百七匹。 ページ20
「は？」
指をへし折ってやろうかと思ったが、その手は怒りを堪えてるせいか小さく震えていて。
まあだからといって腹立つのには変わらねェから、よし折ろうと決め腕を持ち上げる。
が、先にソイツがボソッと呟いた。
「包帯」
「あァ？」
「包帯！なんで巻いてんだって聞いてんだよ！！」
「…………ハァア？」
は？包帯？包帯がなんだって？
突然飛び出たその単語に、俺は首を傾げる。
確かに今俺は包帯は巻いてる。
けどそれは当たり前でいつものことだ。あの日から俺は一度だって素顔を見せて人の前に立ったことはねェ。
「……！」
あ？いや違う。
つい最近、俺は人前で包帯を取った。
正確には、コイツに取られたんだ。
……まさか。
「俺ぁ言ったよなぁ！？てめぇみたいなザコが化け物のわけねぇって！！てめぇはただの人間だって！！」
「ッ！」
「てめぇん中の化け物も、俺が殺してやっただろうが！！」
落ち着いたのはほんの一瞬で、また怒鳴りだしたソイツは、俺に向けていた腕をぐっと伸ばし俺の胸倉を掴んだ。
それに負けじと俺も右手で爆豪の髪を鷲掴み、左手で胸倉を掴み返す。
「なのにてめぇはのこのこといつもと変わんねぇ面で来やがって……！！しかもなんだ？！ヒーロー名がモンスター？！化け物？！名が体を表してる？！ってめぇはどれだけ人をコケにすりゃ気がすむんだ！！」
「ッしょうがねェだろ？！それ以外に俺に合う名前なんて＿＿」
「んなこと言ってんじゃねぇんだよ俺は！！〜あああクソ！！なんでわかんねぇんだ！」
ソイツは歯を食いしばり苦虫を噛み潰したような顔をすると、体制はそのままに俺に全体重を乗せてきた。
思いがけないソレに押し返そうとしたが間に合わず、俺の体はガタンと近くの机の上に押さえつけられる。
「ッ退けろ！殺すぞ！！」
「『ンなもんさっさと乗り越えてこい』！俺はそう言ったんだ！！」
「！！」
「っ無駄だったんだな！？あの時間も、俺の言葉も！何一つ伝わってなかったんだな？！」
ピタリと、俺の動きが停止する。
その隙にソイツは一際大きく叫んだ。
「答えろやぁ！！」
……コイツの言葉が俺に伝わってなかった？
そんなわけねェ。もしそうなら俺はこんなところに立ってない。学校なんかに来ているわけがない。
伝わってなかったとしたら、あのときのあの衝撃はなんなんだ。頭ん中を電流が走ったようなあの衝撃は。あれが伝わるってことなんじゃねェのか。
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名前決まらないドン(プロフ) - 戻ってくる事を祈って待っております (2019年5月11日 13時) (
レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
あげあげ！ - 主人公のツンツンデレ具合がちょうど良すぎて死にそう(吐血) (2018年7月16日 23時) (レス) id: 94845ca325 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - うふさん» あなた様にこの小説が読み返されていることがとても幸福です！確かにみんな格好良いですよね…！ (2018年7月14日 13時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
うふ - 読み返すたび毎度思う、全キャライケメン。 (2018年7月12日 3時) (レス) id: 54f25622c3 (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 餅原 葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！一之瀬君が人気でとても嬉しいです…！そう言っていただけて本当に有難いです！更新頑張らせていただきます！ (2018年7月3日 18時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：●龍● | 作成日時：2017年12月25日 19時
