the scarf ページ23
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ケイティ・ベルが地べたでのたうち回り、叫び続けているのを、ユリは恐々として見つめていた。
なんとか落ち着かせようとしているが、どうにもならない。
やがて、ハリーが呼びに行ったハグリッドが到着して、叫んだ。
「見せてみろ!」
「ケイティがどうにかなっちゃったの!」
ケイティの友達のリーアンがすすり泣いた。
「何が起こったのかわからない……」
十月の半ば、学期最初のホグズミードの日。
その日はかなり寒くて、ユリは一年生のクリスマスに父からもらったショールをぐるぐるに巻きつけていた。
四人がホグワーツへ帰る途中で、その光景に立ち会ったのだ。
ハグリッドはケイティを抱き上げ、城のほうに走り去った。
数秒後には、耳を劈くようなケイティの悲鳴が聞こえなくなり、ただ風の唸りだけが残った。
ユリは、地面に落ちている茶色の紙包みの中に、緑色がかった光る物を見つけて、屈みこんだ。
ショールを首から外し、それを慎重に覆って拾い上げる。
装飾的なオパールのネックレスだ。
「見たことがある」
ハリーがそれをじっと見つめながら言った。
「ずいぶん前になるけど、ボージン・アンド・バークスに飾ってあった。説明書きに、呪われているって書いてあった。ケイティは、これに触ったに違いない」
ハリーは、ユリからショールごとネックレスを受け取った。
「これをマダム・ポンフリーに見せる必要がある」
五人がホグワーツへ戻ると、マクゴナガル先生が、霙の渦巻く中を、みんなを迎えに石段を駆け下りてくるところだった。
「ハグリッドの話では、ケイティ・ベルがあのようになったのを、あなたたち五人が目撃したと……さあ、いますぐ上の私の部屋に!ポッター、何を持っているのですか?」
「ケイティが触れたものです」
「なんとまあ」
マクゴナガル先生は警戒するような表情で、ハリーからネックレスを受け取った。
「フィルチ、このネックレスを、すぐにスネイプ先生のところへ持っていきなさい。ただし、決して触らないよう。マフラーに包んだままですよ!」
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岡P(プロフ) - お話とても面白かったです。この先どうなるのか更新楽しみにしています。 (10月31日 22時) (レス) @page44 id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - すごく面白くて最高です!応援しています! (9月28日 1時) (レス) @page43 id: cb75ec721c (このIDを非表示/違反報告)
アミ - この小説を1話読む度に、主人公が感じるドキドキ、喜び、切なさ、愛おしさ、全てが臨場感をもって伝わってきて、満ち足りた気持ちになります。あなたの小説に出会えてよかった、そう思える作品でした。続きを読むのをとてもとても楽しみにしています。ご自愛ください。 (8月30日 19時) (レス) id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
エヌエヌ - 最高です!!!!とても面白く、素晴らしい作品だと思いました。ダンブルドアが亡くなったのは6月で、夢主ちゃんのお父さんとの別れは8月前ということはもうそろそろ……??と思いどうなるのか気になってます。続き楽しみに待ってます〜!!! (7月26日 16時) (レス) id: cc01457125 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 今まで読んだ作品の中で1番好きです。更新楽しみにしてます。素敵な出会いをありがとう。 (7月25日 2時) (レス) @page43 id: c7131ab9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや。 | 作成日時:2023年4月5日 4時