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そこからのダンブルドアの口上はすばらしかった。
ゴーントははじめ、絶対に孫を手放したがらない様子だったが、最終的には折れて、さらにはダンブルドアと今から学用品を買いに出かけることを了承した。
帰り道を、ガーベラにとっては新しい世界への道を歩きながら、ダンブルドアはガーベラに話しかけた。
「これからロンドンに行く。その前に、きみの服装をなんとかしよう」
ダンブルドアが杖を一振りすると、ガーベラの灰色のボロは、白と緑の細かい花柄のワンピースに変わった。
ガーベラはその服を見下ろして、そして、勇気を振り絞るようにして口を開いた。
「あ、の……お金、もってません……」
最後のほうは消え入るようになったので、ユリはなんとか耳を澄まして聞き取った。
ダンブルドアは、にっこりして言った。
「安心しなさい。きみには援助が出る」
「そろそろ次へ行くとしよう」
老ダンブルドアはそう言って、杖を取り出して振った。
すると、前と同じように場面転換が起こって、二人はホグワーツの大広間に出た。
今度は組み分けの儀式ではなかったが、新入生の感じからして、それほど時間は経っていないだろうと思われた。
グリフィンドールのテーブルの隅で、ガーベラは一人黙々と朝食を取っていた。
ユリはちょっと眉を下げる。
彼女はあまり人づきあいが得意ではないだろうし、その名字のせいで周りも仲間に入れようとはしないのだろう。
ガーベラの周りだけ、ぽっかり空間ができている。
でも実際、彼女がそれをまったく苦に思っていない、むしろ喜ばしい状況であると思っていることに、ユリは気づいた。
男の子がガーベラに話しかけたとき、彼女がちょっと固まった後、あからさまに眉根を寄せたからだ。
「やあ。隣いい?」
ガーベラは答えない。
ユリにはその男の子が誰かわかった。
ユリの祖父、フーガ・グリンデルバルドだ。
ネクタイの色は、スリザリンの緑だった。
彼は、ガーベラの無視や、グリフィンドールからの怪訝な視線など意に介さずに、隣に座った。
一方ガーベラは、かぼちゃジュースをとっとと飲み干そうとしている。
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岡P(プロフ) - お話とても面白かったです。この先どうなるのか更新楽しみにしています。 (10月31日 22時) (レス) @page44 id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
つき(プロフ) - すごく面白くて最高です!応援しています! (9月28日 1時) (レス) @page43 id: cb75ec721c (このIDを非表示/違反報告)
アミ - この小説を1話読む度に、主人公が感じるドキドキ、喜び、切なさ、愛おしさ、全てが臨場感をもって伝わってきて、満ち足りた気持ちになります。あなたの小説に出会えてよかった、そう思える作品でした。続きを読むのをとてもとても楽しみにしています。ご自愛ください。 (8月30日 19時) (レス) id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
エヌエヌ - 最高です!!!!とても面白く、素晴らしい作品だと思いました。ダンブルドアが亡くなったのは6月で、夢主ちゃんのお父さんとの別れは8月前ということはもうそろそろ……??と思いどうなるのか気になってます。続き楽しみに待ってます〜!!! (7月26日 16時) (レス) id: cc01457125 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 今まで読んだ作品の中で1番好きです。更新楽しみにしてます。素敵な出会いをありがとう。 (7月25日 2時) (レス) @page43 id: c7131ab9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや。 | 作成日時:2023年4月5日 4時