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ガーベラは内心チクショウと毒づいた。
なんでこんな目に遭うんだ。
寮長だからだ。
せやかて工藤、ワイは寮長になりたいなんて一言も言うてないんやで。
もうこうなったらもちろん俺らは抵抗するでをやろうかな。拳で。
背中に大量の冷や汗を滲ませながらそう思った。
そのとき、ザッと人混みが割れて、廊下の右端があいた。
「ベーラッ」
快活に明朗にそう言いながら現れて少年たちを押しのけ、ガーベラの肩を組んだのは、スリザリンの寮長セブンである。
ガーベラは一瞬ビクッとしたが、彼がこの状況を打破してくれることを知っているので、黙って俯いていた。
「キミたち、獅子寮の一年だな。次ウチの一年と合同で魔法薬学だろ。地下牢って遠いし迷うから早めに行った方がいいぜ」
少年たちはハンサムに屈託のない笑みを向けられて、さっきまでの威勢はどこへやら、耳を赤くしてコクコク頷く。
そして、コチコチになりながら踵を返し、ぴゅーっと去っていった。
新学期開始から二週間。
セブンは早くも他寮の新入生の心まで掴むことに成功していた。
ガーベラの肩を組んだまま、少年たちをにこにこ見送り、満足げにガーベラに顔を向ける。
「人気者だな？ベラ」
「勘弁してくれ……」
二週間前より少し砕けた言い方でガーベラは返事をした。
彼女のセブンに対する態度は、一年かけて徐々に軟化し、そして夏休みを越えるとリセットされるのである。
人見知りの究極系であった。
「ベラ、次の防衛術出るの？」
「出ない……ダンブルドアに呼ばれてるから……」
「残念。せっかく久しぶりにベラの隣座れると思ったんだけどなー」
「セブン！時間見ろ。置いてくぞ」
「はあい。またな、ベラ」
待たせていた友だちに呼ばれたセブンは、キラキラ笑って返事をし、ガーベラのもとを去った。
ガーベラはそんな彼の背中を見送る。
すると、その視線に気づいたのか彼は友達の手前でぱっと振り向き、一等星みたいな笑顔で手を振った。
そしてそれに応えてそろ、と小さく手を振り、逃げるように踵を返したガーベラに、セブンはついに声を上げて笑った。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
